人と、人ならざるものの関係性。その『リアル』

日輪村という場所には、大きな木がありまして。
今夜は宴が開かれております。

この宴を、盃を交わしながら月を眺め、楽しんでいるものたち。
それは、姿形こそ人間によく似ておりますが、
その性質は実は……人ではなく、蛇にございます。

蛇神と呼ばれる彼らと人間との関係は、例えるならば人間と天狗の関係のようなものでございまして。

人間が蛇神に雨を乞う。蛇神は叶える見返りに供物をや、時には人の子を嫁に迎える。と言った具合の……まあ、
叩き潰して言ったところの、ウィン・ウィンな関係にございまするな。

そのように不文律的な関係を続けてきた蛇神と人間。
しかし取引にトラブルは、やはりつきもののようでございまして。

木の根に座る二人の蛇神が何やら、もめてございます。

なんでも男の方が、庄屋の願いを叶えて雨を降らせてやったのに、娘を嫁にもらう約束を、反故にされたのだそうですな。

もちろん人間側にも完全に悪気があったわけではない。そこにはのっぴきならに事情は、確かにあったのにございます。しかしながら結果的に、蛇神様への約束を、破った。


なのに男の方は、どこかあっけらかんとしていて別にどうでもよしと。そのような態度だもので仲間である女の方はヤキモキとします。


……人間たちからしてみれば、超人的な法力を持ちます蛇神様に弓引く行為。
これは……冷静ではいられません。ひたすらに怯えます。
そしてとった行動は……。



人間と、人ならざるものとの関係。
そのコミュニティのリアルさ。そして派手な戦闘シーンと、なんとラストには……な展開まで。
よくぞこのスケールを一万字に閉じ込めたと、拍手を送りたくなりまする。

お勧めいたします。

是非、ご一読を。








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