人と、人ならざるものの関係性。その『リアル』
- ★★★ Excellent!!!
日輪村という場所には、大きな木がありまして。
今夜は宴が開かれております。
この宴を、盃を交わしながら月を眺め、楽しんでいるものたち。
それは、姿形こそ人間によく似ておりますが、
その性質は実は……人ではなく、蛇にございます。
蛇神と呼ばれる彼らと人間との関係は、例えるならば人間と天狗の関係のようなものでございまして。
人間が蛇神に雨を乞う。蛇神は叶える見返りに供物をや、時には人の子を嫁に迎える。と言った具合の……まあ、
叩き潰して言ったところの、ウィン・ウィンな関係にございまするな。
そのように不文律的な関係を続けてきた蛇神と人間。
しかし取引にトラブルは、やはりつきもののようでございまして。
木の根に座る二人の蛇神が何やら、もめてございます。
なんでも男の方が、庄屋の願いを叶えて雨を降らせてやったのに、娘を嫁にもらう約束を、反故にされたのだそうですな。
もちろん人間側にも完全に悪気があったわけではない。そこにはのっぴきならに事情は、確かにあったのにございます。しかしながら結果的に、蛇神様への約束を、破った。
なのに男の方は、どこかあっけらかんとしていて別にどうでもよしと。そのような態度だもので仲間である女の方はヤキモキとします。
……人間たちからしてみれば、超人的な法力を持ちます蛇神様に弓引く行為。
これは……冷静ではいられません。ひたすらに怯えます。
そしてとった行動は……。
人間と、人ならざるものとの関係。
そのコミュニティのリアルさ。そして派手な戦闘シーンと、なんとラストには……な展開まで。
よくぞこのスケールを一万字に閉じ込めたと、拍手を送りたくなりまする。
お勧めいたします。
是非、ご一読を。