概要
転生先はフェルマー。最終定理? 解いてみるか。
大学の帰り道、横断歩道で赤信号が滲んだ──次の瞬間、目を覚ますとそこは蝋燭の灯る石造りの部屋。
鏡に映るのは、教科書で見たあの顔。
そう、転生先は──数学者フェルマー。
彼の机には、あの有名な一行が残されていた。
“n>2のとき、Xn+Yn=Zn を満たす整数解は存在しない”
──そして、その下に「だが、この余白は狭すぎる。」
〈演算能力〉〈解読〉──頭の中に次々と現れるスキルたち。
だが彼(僕)は気づく。
この時代には、証明を語る“言葉”がまだ存在しないことに。
数式の海に沈む天才の家で見つけたのは、粉糖の香りがする恋文だった。
論理と感情のあわいで、フェルマー(=僕)は最後の一行を書く。
──それは三百五十年後に届く、ひとつの「余白への返事」だった。
鏡に映るのは、教科書で見たあの顔。
そう、転生先は──数学者フェルマー。
彼の机には、あの有名な一行が残されていた。
“n>2のとき、Xn+Yn=Zn を満たす整数解は存在しない”
──そして、その下に「だが、この余白は狭すぎる。」
〈演算能力〉〈解読〉──頭の中に次々と現れるスキルたち。
だが彼(僕)は気づく。
この時代には、証明を語る“言葉”がまだ存在しないことに。
数式の海に沈む天才の家で見つけたのは、粉糖の香りがする恋文だった。
論理と感情のあわいで、フェルマー(=僕)は最後の一行を書く。
──それは三百五十年後に届く、ひとつの「余白への返事」だった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!350年に渡る苦闘の歴史、その始まりの物語。そこにはただ、愛があった。
フェルマーの最終定理。数学界が総力を上げて(時にほぼ諦められながら)350年以上の歳月を費やして証明された定理です。知っている人は知っている(なお証明はクソムズイので私はいまだに理解できていない)。
そんな史実の逸話にちょっとしたエッセンスを加えるとあら不思議。とたんに素敵な物語が生まれます。
余白が狭すぎて書けないという有名な逸話。しかしその余白が定理のそれでなく愛だとしたら? やはり言葉にするには余白が足りないかもしれませんし、その余白が少しでもあるから美しいのかもしれません。
短い中にギュッと魅力を詰め込んだ掌編。定理を知らなくても、それにまつわる逸話を知っていれば楽しめ…続きを読む