あらゆる作業が人工知能によって制御される時代。人はもはや大地=地球の中にではなく、宇宙空間に還って星とまたたくことが望まれるようになった時代。信仰の、感性の土台が崩れさりながらも、その仕事だけはまだ、人間の手に残されて、残されるべきものとされていた。この時代、あなたはどのように芽吹き、どのように刈られ、どのように撒かれたいでしょうか?
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遠い将来、本当にこういう葬儀が一般的になるかもしれません。AIもきっと今よりもっと進化して、できないことを数える方が早いかも……でも、やはりどうしても人の手じゃなければ不可能なことってあると思うんです。そのたったひとつのことのために、宇宙船「一粒の麦」号の船長であり、牧師でもある主人公は宇宙葬を執り行います。本文のラストにとある英語の曲が出てくるのですが、お話を読み終えてこの曲を聴くと、込み上げるものがあります。ぜひセットで楽しまれることをおすすめいたします。
宇宙を舞台とした美しい作品の中で、主人公たちはある「種」を宇宙へ撒く仕事をしています。AIが世の中を便利にして技術が進歩しても、彼らの仕事は機械に任せることができません。未来のお話なのでしょうが、空に流れる星はもしかしたら彼らが撒いた「種」かもしれないと思いを馳せたくなるような、感傷的で温かな気持ちになれる作品です。
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