退魔師の少女・渚なぎさと、不思議な存在である九頭龍・宗寛先生との出会いから始まる、温かくも少し切ない人と人外の絆の物語です。封印、家系、契約婚姻といった重いテーマを扱いながらも、宗寛先生の飄々とした人柄や、地域の人々との交流がやさしい空気を織りなしています。特に、幼き頃の記憶と現在が静かに繋がるシーンには、胸が熱くなりました。先生の「自己満足」という言葉の裏にある深い優しさと孤独が、渚なぎさたちに少しずつ伝わっていく様子がとても丁寧に描かれています。優しさの中に厳しさもあり、選択を委ねる姿勢がまた、彼らしい魅力となっていました。読み終えたあと、心の奥に温かな余韻が残る、そんな素敵な物語です。