第40話 お披露目

支部から見たことない小太りが現れてアルバとレイスは混乱する。


アルバ:「な、なぁ...あの人誰だ?」


レイス:「えっ?お前の知人じゃないのか?」


アルバ:「俺の知り合いにあんな小太りいねーよ」


小太りの男はネメシスを見ると急に目に輝きが宿る。


???:「隊長が言ってた蚊のエサってお前か!1回会ってみたかったんだよ!」


小太りは短い足を回転させ、砂煙を舞わせながら支部に戻っていく。

・・・

10秒もしないうちに小太りは大量の機械を抱えてもう一度出てきた。


ネメシス:「あの本で見た事あるぞ。てめぇは戦闘向きじゃないだろ。引っ込んでろ」


ネメシスの言葉を無視して、抱えていた機械をドサッと置く。

そして、大量の機械の中からおもちゃのようなカラフルなハンドガンを取り出す。


???:「じゃじゃーん!おいらの自慢の作品"泳げ!カツオくん!"」


ネメシス:「あの包帯野郎といいデブといい俺を馬鹿にしてんのか?」


ネメシスの体を滴る血液が地面に流れ落ち、あっという間に大きな湖が出来る。


ネメシス:「よんノ業 血湖に巣食う水蜘蛛」


血の湖から触手が生えたかと思えば蜘蛛の胴体が出てくる。触手と思われていた部分は蜘蛛の触肢で、成人男性と同等の大きさの蜘蛛は止めどなく生み出され続ける。


アルバ:「嘘だろ肆まで業使えんのかよ!」


一体の蜘蛛がレイスに襲いかかる。

レイスは影刀で斬りつけるが刀は簡単に弾かれる。


レイス:「こいつ硬すぎる!」


本部襲撃の時のドロル戦で見せた、影刀をアルバの打撃で叩き込む方法を思い出し、アルバが駆け寄る。

アルバの考えを察したレイスはきっさきを蜘蛛の腹部に力の限り突き刺し、そこにアルバの一撃が決まる。


パァーン


堪らず蜘蛛は破裂し、辺りに血が飛び散った。

そして、その血溜まりから新たな蜘蛛が現れる。


アルバ:「そんなのありかよ...」


レイス:「永久機関ってやつかもな...」


2人の意気が消沈していることなど気にも止めず、小太りが呼びかける。


???:「おーい、そこ邪魔だからどいてくれるー?」


2人はお互いの顔を見合せて戸惑ったが、渋々その場から少し逸れる。

蜘蛛たちは小太りが視界に入ると途端に小太りにターゲットを絞る。

血で作られているはずの蜘蛛は血に飢えている。


???:「さぁ初のお披露目だ!」


ビュンビュンビュンビュン


手に持っているカラフルなハンドガン"泳げ!カツオくん!"を蜘蛛に向けて乱射する。


バチュンバチュン


被弾した蜘蛛は動きを止めて、胴体が内側からボコボコ動き始める。


アルバ:「おい!あれどうなってんだよ!」


レイス:「俺に聞くな!」


蜘蛛は次第に形を変え、顔が鋭くなり、ヒレが生え、次第にカツオへと見た目が変わっていく。


それを見ていたネメシス、アルバ、レイスは開いた口が閉まらない。


???:「やったー!成功だ!」


ネメシス:「てっ、てめぇ何しやがった!?」


???:「カツオは鉄分を多く含む。食べれば体の中で血に変わっていくんだ。なら、血がカツオになっても何ら不思議じゃないだろ?」


アルバ.レイス:(いや、不思議です...)


ネメシスはカツオたちを動かそうとするが、全く言うことを聞かない。


???:「無駄だよ。このカツオから君の隠力は浄化されてる。今は僕の言うことを聞くカツオさ」


その後も乱射し、どんどんカツオの数が増えていく。

慌ててネメシスは業の発動をやめた。


???:「じゃあ行ってこーい」


小太りの号令と共にカツオたちはネメシスや、黒仮面に向かって猛スピードで空中を泳ぐ。

ネメシスは容易くいなすが、部下の黒仮面たちはカツオの大群に飲まれて気を失う。


ササササッ


ネメシス:「戦闘向きじゃないやつがここまでやるとはな。俺はネメシスだ。てめぇの名は?」


???:「オイラ?オイラはハック・アンドレだよ」


ネメシス:「そうか。じゃあなハック」


ササササッ


ハックの目の前に溜まっていた血溜まりから血の槍が突き出てくる。

戦闘向きでは無いハックにその槍を捉えることは出来ない。


アルバ:「やべぇ!」


アルバ達も助けるにはハックとの距離が遠すぎる。


レイス:(...何か来る!)


ササササッ バッ!!!


金髪の青年がハックの前に現れ血の槍を危機一髪のところで受け止める。


ハック:「ん?どなたさんだ?」


アルバ:「お前は!」


レン:「久しぶりだなアルバ」


その男はアルバが厳命護衛隊入隊試験の際に試合を行った青年レンだった。


アルバ:「お前がなんでここに?」


レン:「近くの広場で青襦隊と国民の交流イベントがあってね。そしたら爆音が聞こえたから様子を見に来たんだよ」


ネメシス:「なんだ?また邪魔者か?」


ライオット:「やっぱレンは足が速いな」


レン:「副隊長!隊長の見立て通り敵襲のようです」


青襦隊 副隊長ライオット・ガーフィールドが到着する。


レイス:「青襦隊副隊長ライオット・ガーフィールド。狙撃のライオットの異名を持つと聞いたことがある」


ライオット:「緋縅のみなさん、ここからは我々青襦隊も首突っ込ませてもらいます」


邪魔者ばかり乱入してきてネメシスの機嫌は最底辺に到達している。


ネメシス:「てめぇら生きて帰れるとか思うなよ」

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