もうすぐ、下に赤ん坊がうまれる、おさない少年。彼が住むマンション、エレベーターの前に貼ってある注意書き。日が経つにつれて、そのエレベーターの扉が勝手に開くことが増えて、そして、ある日……。胸の奥底に封じこめていたはずのちいさな不満が、目のまえに、そして現実に出現する。そんな恐怖。
しみじみと考えさせられるお話です。せっかく読みやすい文章で、読みやすい長さに収められていますので、内容については触れずにおきます。とにかくいろいろな捉えようのできるお話で、結末がそれまでの出来事のすべてに意味を持たせ、そして結末自身に対して理由を探させる、ずっしりとした作品です。あの結末がどのようにして引き起こされたのか、しばらく考えを巡らせられそうです。
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