この豚は調教済みですか?はい、その行為は彼の運命を決定づけました。
な、なんだここは?
暗くて、冷たく、湿ったレンガの床。
そして鉄格子。
もしかして牢屋…か?。
まさか異世界に転生してまでムショにぶち込まれるなんて…とほほ。
ついてねぇ…。
「くっくそ…この首輪のせいでっ」
忌々しい首輪を外そうと手をかける。
するとまた電流が走った。
「うびびびびい⁉あばばばばぁっ⁉」
「学習能力は低そうだな。まあオークならこんなものか」
「うっ…うぅ…あんた…は…?」
またも意識が途絶えようとするなか、声が聞こえた方へなんとか首を上げた。気づけば目の前に誰かが立っていた。横には俺をボコボコにした騎馬の隊長もいた。でもその男は兵士の格好じゃない。綺麗に整えられた白色の髪。健康的な体格と、ザ・貴族みたないな高そうな服。
「口を慎め野蛮人。このお方はカマンベール伯爵だ。お前のような知能の低い蛮族には分らんだろうが、かつて人類大陸を救った”高貴な血”を引く末裔の御一人だ」
なんかよくわかんないけど、めっちゃ偉いってコトッ!?
「カマンベール閣下、どう…致しますか?若干の知能の低さは目立ちますが、この比類なき恵まれた体格。そして何よりも漆黒の肌。アルビノも珍しいですが、黒色のオークはこれまで見たどの学術論文や文献にも存在しておりません。完璧な新種、もしくはきわめて希少価値の高い突然変異種です。その体格も希少性も…まさに1000年に一匹の逸材でございましょうぞ」
「ふーむ…確かに黒いオークは初めて見た。それにこの巨体。”良い種”になりそうだ」
「そうです…!さすがカマンベール伯爵。もしこれを王都の地下オークションに出せば最低でも金貨10万枚は値が付きますよっ…!自前の動物園で見世物にしてもよし、貴族の社交界で護衛役として見せびらかしてもよし。それか国王陛下や大公殿下への贈呈品に回すか…はたまた買った値段よりももっと高い値段で売りつけてもよし…もしくは…閣下のお考え通りに繁殖用の種馬にしても…」
たっ種馬?
いま種馬って言ったか?
えっ…これもしかしてワンチャンある?
あっいや、バカ待て…これオークのメスと交尾させられるじゃ…。
オーク…つまり俺と同じ豚人間……っ!?ヤベェ!セックスしてるシーン想像しちまった!無理無理無理無理‼ぜったいムリッ‼それだけは嫌だ…。
「実は最近、ヒスパニアから30匹ほど雌エルフを買ってな、丁度いい種馬を探していたんだ」
えっ、エルフ?
ちょっと待て‼エルフだとぉ⁉
わりぃ、じゃあやるわ!!種馬やる‼
全部…全部イク‼
「おぉ…では?」
「お願いします!本当にここから出してくりゃぁさい!出してくれるんだったら閣下の奴隷になります‼いやなりたいです!お願いします!!なんでもっ…!種馬でもなんでもしますからぁ‼」
そう叫びながら俺はカマンベール閣下の足元に土下座をした。
これが剣道とテコンドーに並ぶ、日本の国技。
”土下座外交”じゃあ!!
ドンッ‼
額を地面に押し付け、俺はカマンベール伯爵の返答を待つ。
「………如何なさいますか?無礼者として切り捨ててもよいですが…」
「構わん。君には金貨20万枚出す。すぐに契約者更新の儀をしてくれたまえ」
「っっ⁉⁉…に…にじゅうまん…もですか?」
俺に付いた金貨20万の価値に、隊長は目を見開いた絶句しているみたいだ。でもその驚愕の目の奥には、喜びが隠しきれていない。
俺は自分に付いた金貨20万の価値を知りたくなり、隊長に
「どれぐらいの価値なんですか?」
と聞いてみた。
「どのくらいの価値って…俺の年収の200年分だよ…普通の奴隷なら2000人も購入できる……って…おい勝手に――」
「ガエル、よい。それよりも豚の性能を試したい。この上の訓練場を貸し切れないか」
「はっ、畏まりました。おい豚聞け、ここで”成果”を出せればお前は限りなく自由な奴隷になれる。それだけじゃない。繁殖用のメスたちとの交尾生活が待ってるぞ。だが閣下の満足する成果を出せなければお前は鉱山送りだ。死ぬまで全身と肺が傷つきながら衰弱し死に至る。それが嫌なら全力を出せ。分かったな?」
お前が金貨20万枚欲しいだけだろ。と思いながらも、彼なりに俺を鼓舞しようとしてくれているのだろうと、俺は素直に受け取ることした。
俺はすぐに立ち、二人の前に敬礼をする。
「かしこまりました‼閣下と隊長の期待に応えられますよう、全力で参ります‼」
俺がそういうと隊長は牢屋のカギを開けてくれた。
牢屋から出ると、二人は息をのむように後ずさりした
エルフとの種馬生活…ぐへへへ。
これってつまり実質的にスローライフみたいなもんだろ?
俺はまだ見ぬエルフとの種馬ハーレムスローライフを夢見ながら、カマンベール伯爵と隊長に連れられて、地下牢から地上へと続く階段を歩いていった――。
「この大剣をもって、馬を一太刀で両断してみせよ」
閣下がそういうと、隊長は俺に小さな剣を渡してきた。
いわゆるロングソードと呼ばれるような刃物だ。でも身長2mの俺からすると柄が小さくて握りずらい。
俺は目の前で木の台に縄で腹を縛り付けられた騎馬を見る。
競馬で見るような胴体と足が細いサラブレットじゃない。
もっと高地帯にいるようなずんぐりむっくりの野生馬みたいな体格だ。
かなり分厚い筋肉の塊。
これを一太刀で両断することなんてできるのか?
「え…」
「なにをしている?まさか剣を使ったことがないのか?」
「は、はい」
俺の返事に二人は拍子抜けしたように目を見開いた。
そんなに以外か?普通はないでしょ。
「この体格で戦士階級ではないのか…まあいい。お前の筋力なら力任せでも切れるだろう。もともとロングソードとはそういう武器だ」
「いいか、よく聞け豚!足を肩幅まで開いて、少し腰を落とせ。そして息をゆっくり深く吸って、腕を上げたら、息を止めると同時に思いっきり腕を振り下ろすんだ。あとちゃんと剣を離さないように、拳に力を入れて握りしめろよ。分かったな?」
「はい‼分かりました隊長‼」
年収200年分がかかっているからな。むこうも必死だ。
だが必死なのは俺も同じことっ!
エルフとのハーレム生活か、一生鉱山奴隷生活か。
どちらを選ぶかなんて言うまでもない!
俺は隊長に教えられた通り、足を肩幅まで開いき、少し腰を落す。そして息をゆっくり深く吸って、剣を握りしめた両腕を天高く掲げた。
俺を取り囲む兵士たちから感嘆の声が聞こえる。
イメージするんだ。
馬を両断する。その姿を。
脊髄の間を切り落とす。
たとえ骨に当たって止まろうと関係ない。
そのまま思いっきり切り落とす。
まさに一刀両断。
そして奴隷エルフたちとのハーレムイチャラブ種付けプレス中出しだいしゅきホールドセックスを!!
そのイメージを、
いま、
まさに、
できたっ‼!!
俺は息を止め、重いっきり剣を振りかぶった。
「ヒヒーン‼」
静寂に包まれた訓練場の真ん中で、馬の鳴き声が響き渡った。
刃は通った。
確かに。
馬の毛皮を切り伏せ、肉を立ち、
だが背骨で止まった。
「ぐっ⁉ぐぅぅううう‼‼」
「っ…だっダメか…?」
「ぐぅうおおおおお‼諦めてぇ‼たまるかよぉおおおおおっ‼エルフとのハーレム生活ぅうううううおおおおおお‼‼種馬‼なるんじゃあああ‼‼ボケッ‼‼」
ガチーン‼
剣と台がぶつかる音が鈍く響いた。
そして次に二つの肉塊が地面に倒れる音がした。
血しぶきが舞い、豚人間の肌は赤黒く変色していた。
だが豚人間を取り囲む兵士たちは、彼の振りかざした剣先だけを一点に見つめていた。
その剣は馬を縛り付けていた台にまで到達し、食い込んでいた。
そして遅れて兵士たちは視線を床に落とし、真っ二つに叩き割られた馬の胴体をやっと見た。
「…切った」
「ああ、切ったぞ」
「うおおおおおおお‼」
「すげえ‼黒ブタ鬼強ええええ‼」
「やっ…や、やったな豚‼よくやったぞ‼さすが我が一番弟子だ‼」
なんか勝手に一番弟子になってるぅぅ!!
でもそんなことどうでもいいくらい最高の気分だ!!そう、やっぱり俺は最強なんだ!!
俺は最強!!俺は最強!!
エルフとのハーレム生活満喫するぜぇ!!
「まだだ」
「「「え?」」」
カマンベール伯爵の一言に、俺たち一同は一斉に後ろを振り向いた。
「馬を6頭…いや10頭持ってこい」
「な、なにをする気で…?」
隊長は声を震わせながら伯爵に説いかけた。
「綱引きだ」
――ドンッ!!!
続く。
巨根ブラックオークは異世界でホワイトバニィーをファック 雪風 @katouzyunsan
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