反魂の香りに厳粛なる死の調べ

あまりにも荘厳なクライマックスに息をのんだ。
じつに作り込まれた舞台に、死人たちの命が花開く。
作者はきっとインゴルヌカ在住のゾンビに違いない。克明な描写がそう思わせてくれる。

父を弔うために、娘は葬儀屋に依頼する。
葬儀屋は死人を死に還す仕事だ。
そして、生者に死を諭す仕事だ。
冷え冷えとした北欧の空気に反魂の香りが漂い、父とその弟は死体の命を生きて、娘と互いに慕い合う。
生きることは、死人にとってもまた困難なのだ。

以上、完結まで読んだので再レビューでした。


以下、以前のレビュー。

2016年3月11日 04:45

死んだことの無い人には読んでほしい

明るい死体VS.無機質な死体のシリアスバトルが家族の繋がりをかけて展開され、生命の有無を越えて注ぎ合われる慕情が大団円を予感させる。
はやく完結が読みたい。
ごてごてとした設定にしては、不思議とすんなり読めるので、文章力の高さを感じる。
あと、ねこは丸ければ丸いほど良い。

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