反魂の香りに厳粛なる死の調べ
- ★★★ Excellent!!!
あまりにも荘厳なクライマックスに息をのんだ。
じつに作り込まれた舞台に、死人たちの命が花開く。
作者はきっとインゴルヌカ在住のゾンビに違いない。克明な描写がそう思わせてくれる。
父を弔うために、娘は葬儀屋に依頼する。
葬儀屋は死人を死に還す仕事だ。
そして、生者に死を諭す仕事だ。
冷え冷えとした北欧の空気に反魂の香りが漂い、父とその弟は死体の命を生きて、娘と互いに慕い合う。
生きることは、死人にとってもまた困難なのだ。
以上、完結まで読んだので再レビューでした。
以下、以前のレビュー。
2016年3月11日 04:45
死んだことの無い人には読んでほしい
明るい死体VS.無機質な死体のシリアスバトルが家族の繋がりをかけて展開され、生命の有無を越えて注ぎ合われる慕情が大団円を予感させる。
はやく完結が読みたい。
ごてごてとした設定にしては、不思議とすんなり読めるので、文章力の高さを感じる。
あと、ねこは丸ければ丸いほど良い。