ネットを取り巻く狂気を風刺

 相手をネットスラングという抽象的な言葉で批判する時点で、ネトウヨちゃんもサヨクくんも、同程度にしか見えなかったが、残念なことに今のネット社会にはこの手の人間が溢れている。

 ネトウヨちゃんは安倍晋三内閣総理大臣を崇め、サヨクくんは危険分子の様に言ったが、残念。安倍晋三内閣総理大臣はそんなオーバーなスペックを持ってはいないよ。私はそう思った。

 しかしまあ、ここは私の政治主張を行う場ではないので、作品について話していこうかなと思う。

 まず、両者の読んでいた書籍。一部の(ネトウヨちゃんと同類の方々)右翼思想の人間がこよなく愛する「スイスの民間防衛」、一部の革新勢力(サヨクくんと以下略)のこよなく愛する「資本論」。それぞれの個性がよく分かるシーンだった。

 次に両者の自己評価。ネトウヨちゃんは自分のことを「保守本流」と語っている。ここで私は「安倍晋三って、保守傍流の政治家じゃね?」と突っ込んでしまった。まあ、彼女にとって、自民党の事情など興味ないのだろうけど。サヨクくんは「中道」と自己評価していた。「言ってること、読んでる本、共産党と同じですよ」なんて言っちゃいけないんだろうな(共産党はソ連型社会主義を否定しつつも、合法的な共産主義革命を主張している)。

 ここだけは読者の方に誤解されたくないのだが、保守派が中韓を嫌っているなどと思わないで欲しい(ネトウヨちゃんの世界地図には、中国、韓国の場所に罰じるしが付けられていた)。
 日本の保守派の多くは、韓国におけるニューライト思想の広がり、朴槿恵政権との日韓合意を支持している。一部の例外が「除鮮」だとか「チョン」だとか言ったとしても、そのイメージを保守派とイコールにしないで欲しい。
 革新派については私はよく知らないので、弁護のしようがないが、ステレオタイプ化して批判せず、一人ひとりの意見にきちんと耳を傾けてあげてほしい。

 ちなみに、私は右翼だとか、左翼だとか、そういう表現が好きではないので、保守、革新と表している。

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