不器用なひとり探偵を取り巻くヒューマンドラマ

主人公の探偵は、プレハブ小屋で一人探偵をしている中年一歩手前の男。
育った環境にトラウマを持ち、少しばかり自己評価の低い、しかし本当は見た目も能力も高い人物。
彼の探偵としての仕事は、華々しいものは殆どない。ひたすら日常での小さな、しかし当事者にとっては大きな問題を、鮮やかに解決していく。
彼の探偵修行時代の話や、盟友である人物、協力者である大家との出会い、そして彼の妻となる女性との出会いもまた描かれていく。

長編小説ながら、軽快でリズム感のある見事な筆致に引っ張られ、気付けば次々と読み耽ってしまうような作品。
堅実な設定と、絶妙に張られた伏線。そしてなにより、キャラクターの人間性に魅了される。

質の高い長編小説を望まれている方。腰を据えてじっくり読む価値が十二分にある小説です。
ライトノベルの域ではありません。
有意義な読書時間を、主人公の、みさちゃんと共にお過ごし下さい。
お勧めします。