場面場面が、頭の中に明確に浮かび上がってくる

 悔しい。物書きとしてそう感じる事の出来る良い作品でした。
 主人公は「肌を病んだ男」としか書かれておらず、名前も出てくる事はありません。
 だというのに、彼の身体的特長や背景を丁寧に描写する事で、世の中に溢れる、名前の付いた登場人物を上回る個性を持たせる事に成功しています。
 さらには情景描写も巧みであり、廃墟に入るシーンなどは、今まさに自分がその場所に立ち入っていくような感覚がありました。
 私もこういった作品を書いてみたい。