『派遣~毎日が退屈な人たちへ~』

@shiro-kuro0213

プロローグ

太陽の日差しが本格的になってきた時期に僕たちの目の前に現れたのは茶色の色をした箱たちだった。

それは僕たちの視界いっぱいに積まれた段ボールであり、どこかの会社がイベントの為に用意したチラシが山のように入っているらしい。それを聞いた僕は段ボールの目の前で群がっていた集団の最後尾へと静かに移動を始めた。すると周りにいた人達は不思議がるような目で僕を見ていたが、その不可解な行動の意味を察したのか一歩また一歩と足を後ろへ下げてきていた。だが気づくのが遅かったのか僕が最後尾へと到着した時、現場を取り締まっている人が大きな声で「バイトォッ! 今からこの段ボールたちを運ぶから前から順に取りに来い。」とあらかた予想していた言葉が前から聞こえてきた。集団の前にいる人から順番に段ボールを運んでいく姿を僕は一番後ろの列からニヤニヤしながら見て自分の番がくるのを待っていた。

そう、これは僕が働く派遣会社での体験記である。

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