切なくても日常は続いていく

日常はどこか哀しくて、切なさが潜んでいて、でも、家族や友人たちと懸命に生きていくしかなくて、散りばめられたやり切れない瞬間の描写に、胸がギュッとなりました。
読み出すと主人公の暮らしがどうなるのか気になり、ページを繰る手が止まらなくなります。
途中に出てきた文章がすごく印象的でした。
『いろんなことに平気でいれる自分になるくらいだったら、自己嫌悪で苦しい方がマシなんだよね。薄情な人間になるくらいなら、苦しんだ方がまだマシなんだよね』
ものすごく共感できる感覚で、作者の人柄が伝わってきます。
すごく良質な小説で、出会って良かったと思える作品です。

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