PM3:42
おいおいラッブラブじゃないか強がりくんのやつ~隅に置けないね~おととっ!これまた失礼!父です!親父です!もう息子の幸せはわしゃの幸せだ~なんつって。ほんと彼がこのまま幸せに人生を歩んで行くことを願いますよほんと!!!私のように道を外れることなく幸せを手にして欲しいものです。ありゃりゃ、そろそろ強がりくんがやっきます。ではもう少し皆さんとお話したいのですがこのへんで。
PM3:42学校も終わり今日も昇降口でまお子ちゃんを待ちます。気がつけばまお子ちゃんと付き合って1年になります。半年でまお子ちゃんのことをたくさん知りました。まお子ちゃんは甘いものが好きで特に大福には目がありません。まお子ちゃんは昔の歌謡曲が好きでとてもとても渋い女の子なのです。家族の話はあまりしたがりません。一人っ子のようです。私服はもうどこで買ったの???って驚いてしまうような古着のオンパレードです。しかし強がりくんも古着が大好きなのでまお子ちゃんの私服も大好きです。まお子ちゃんはぼくと付き合ってからバイトをはじめました。お金貯めて一緒に卒業旅行に行くの!が最近の口癖です。毎日毎日一緒に帰ります。寂しいとときどきL〇NEをします。月に2回ほどデートへ行きます。まお子ちゃんは隣町の大きな公園でピクニックデートがお気に入りです。この1年間で強がりくんはたくさん笑うようになりました。文句も少なくなりました。いいことづくめです。しかしたまに不安になることがあります。隣にいるのにときどきものすごく遠くにいるように感じることがあるのです。僕といる時もときどき上の空で遠くを見ていたり、公園で遊ぶ微笑ましい親子を見ていると突然泣き出したり、僕には理解できないこともたくさんあります。それが寂しくもあります。彼女にはじめてあったあの日彼女は僕の全てになりたいと言ってくれました。1年がたち気づけば彼女は僕の全てになっていました。母よりも何よりも彼女が第1です。きっと彼女はそんなことないのです。どんなに仲良くしても僕の全てをあげても決して本心だけは隠しているそんな気がするのです。遠い彼女に不安を抱えてしまいますが、きっと自分の考え過ぎなのだろうと思うことにしています。これが僕と彼女の1年です。いろいろ思うことはありますが総じて幸せです。いつもならしばらくすると猛スピードでまお子ちゃんがタックルしてきます。しかし今日はタックルしてきません。少し元気が無さそうです。今日は2人ともバイトが休みなので強がりくんは、久しぶりに公園でゆっくり話そうかと、お誘いしました。まお子ちゃんは少しだけ嬉しそうに小さくうなずきました。冬真っ只中の夕暮れの公園は寒かったのでしたが色違いのマフラーが2人を暖めてくれます。少しの沈黙をおいて強がりくんは尋ねました。
「まお子ちゃん今日元気ないね。」
するとまお子ちゃんは、
「うんちょっとね。」
まお子ちゃんは今にでも泣き出してしまいそうです。まお子ちゃんが急に泣き出すのはいつものことなので強がりくんは答えてくれないとわかっていてもいつも通り頬に手を当てどうしてなのと聞きます。今日も返事はないものだと思って聞きました。しかし今日のまお子ちゃんは違います。
「私のお母さん軽い鬱病だったんだ。」
強がりくんは、はじめて聞いたまお子ちゃんの家族の話に驚きを隠せません。まお子ちゃんは続けます。
「7年前にお父さんが死んじゃって、それから体調崩して精神的にも病んじゃって。」
強がりくんは何も言えません。何を言っていいのかわかりませんでした。苦しみを話す彼女をただただ抱きしめることしかできなかったのです。まお子ちゃんはそれ以上何も言いませんでした。どれくらいの間そうしていたのでしょうか。あたりが暗くなり僕達は沈黙とともに駅へ向かいました。強がりくんはこれ以上まお子ちゃんのお父さんのこともお母さんのことも聞いてはいけないような気がしました。駅で電車を待っているとまお子ちゃんがポツリとつぶやくように
「冬はやっぱり思い出しちゃうのごめんね。」
強がりくんの四苦八苦 @rikukoudu
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