因みに



 それから彼は雨の村で雨鎮めの舞を舞ったんですね。

 そのあと夜斗くんはどうしているかと言うと、ここに居ますよ。

 お兄さんやお母様にはあれから一度も会えていませんが、ここで穏やかに暮らしています。


 ああ、それから。

 あの方向音痴さんも夜斗くんを祀ると言っていましたね。

 あれからあの神社には、神様のお遣いの兎たちがいつでも立ち寄って、楽しく戯れるようにと、兎楽の樹と云われる楠木が植えられました。

 あの神社の前の道沿いにありますよ。

 実は夜斗くん。

 私が気付いてないと思っているんですが、時々黙ってその木のところへ遊びに行ってるんです。

 悪い子でしょう?


 もうお気付きですよね?

 私の正体は、そう。

 月でした。


 ここまでお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

 たまには、私を眺めてくださると、嬉しいです。

 夜斗くんもちゃんと影が映っていると思いますよ? なんてね。


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うさぎの唄 化野 佳和 @yato_writer

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