懐かしく暖かな物語群

『ハクシャクノテンシ』
書き出しの一文、それだけで読者はこの世界に惹き込まれる。
吸血鬼でありながら血が吸えないどころか、日光も十字架もニンニクも好きという設定で興味を抱き、優しい語り口の中に混ざるユーモアにくすりとした。
そして悲しい余韻の残るラスト。
子供でも分かる、大人でも思わず感じ入ってしまう、そんな物語だ。

この物語と出会ったのは今回が初めてではない。しかし、連作になっているというのはこの作品を見つけて初めて知った。
この嬉しい誤算をゆっくり味わいながら読み進めたいと思う。

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