うららのばか! もう、ドキドキする!!

あのね、俺は男らしい硬派な作品が好きなの。
こんな女の子同士がさ、きゃぴきゃぴ恋愛する作品とかね、読まないから。
まあでも? ちょっと? 気になるし?
プロローグだけでも? 読んでみようかな?
つってね。読み始めてみたワケですよ。

プロローグのラスト、
「はい、大丈夫です。女の子でも、大丈夫です」というセリフに合わせて「あ、あたしも女の子同士の恋愛、大丈夫よ!」って叫んでたね。むしろちょっとオネエ口調になってたから。

ハル目線で進んでいくストーリーは、うららの気持ちがわかるようでわからなくて、なんだか恋愛しているときのドキドキをぎゅっと凝縮したようなせつない気持ちになれちゃうの。
うららは本当にあたしのことが好きなの!?どうなの!?大丈夫なの!?ってやきもきするのよね。どこか信じ切れない気持ちと、やっぱり信じたい気持ちが綯い交ぜになって溶けていく。
ああ、女の子になって女の子に惹かれる気持ちって、こうなのねっていう、追体験よね。つい体験しちゃうわ、なんてね。
あらやだ、あたしったらオバサンみたい。

あたしもさ、いろいろあったんだけどさ、でもやっぱり、こういう青春時代のドキドキって、一生モンの宝物なのよね。
学校や街の描写はしっかりしているのにどこか空虚で、ふたりだけの世界に没頭してしまう若い恋愛ってこうだったわね、なんて思っちゃったわ。やだ、あたしったらオバサンみたいね。

なんかね、気づいたら2回目読んでたわ、あたし。
ちょっと謎の中毒性があるわこの作品。危険よ。取り締まりなさい?

とにかくふたりがちょっとずつ近づいていく様子が丁寧に描写してあるから、場末のバーからあたしもオススメするわ。
人生や仕事に疲れたらまたいらっしゃい。アディオス~

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