女子高生天才声優が、とある事件に巻き込まれ、非日常の世界に足を踏みこむ。
まあそういったお話は多々あるものですが、一際目を惹くところは、巧みな物語運びだとかんがえております。
巻き込まれる理由から、主人公、ヒーローの行動理由、職業や設定の活かし方。それには全て理由があり、放出されてしかるべき場面に明らかになる。
ビターエンド派ですから。
この台詞の使い方は、最高でしたね。
ソルトという、ある意味もう一人の主役といっても良いキャラクター。最高のタイミングです。
全ては必然。
全ては計算。
とてつもなく完成されきっている物語に、心酔してください。
お見事でした。
まずは忠告しておく。プロローグと001と002を読んだくらいで離脱してはいけない。少なくとも003まで読むべきだ。できれば004まで。大事なことだからもう一度……はくどいからやめておこう。
最初はJK三人がきゃあきゃあ言ってるだけだ。「高校生兼声優とはさすがヒロインは違うわ。はっ」と鼻で笑いたくなるかもしれない。僕自身小学生あたりを対象にしたマンガの原作にした方がいいんじゃないかと思ったことを白状しよう。だけどその後から面白くなるのだ。むしろ最初の部分は必要だったのかと疑問に思うくらいに。
想力という異能を使うアクションは見ものだし、主人公が天才声優だということも活かされている。これは間違いなくライトノベルだ。さすが新人賞の三次選考まで行っただけのことはある。
続きも書ける終わり方であるから続編を期待してしまう。でも全然違う作品も読んでみたいような気もする。作者の今後に注目したい。
新人賞の二次選考を通過した作品とだけあって、文体、設定、展開がとてもしっかりしている印象でした。
『想力』をテーマに広がる物語は奥行きがあり、神話の要素と上手くリンクしていました。ある意味最高の演技派とも言える七海の設定とも必然的な繋がりがあり、お話の構成力にも感嘆しました。
個人的にはやはり強大な力を持ったアモンが好きですね。そんなアモンにも食い下がる敵など、各キャラクター・悪魔達の個性も光っていました。同じ神話モノを扱う身としても、勉強になる部分が多々ありました。
少しシビアな話をすると、女性声優というキャラを主役に据えたのは、読者層と少しズレていたのかなと。七海のプロフェッショナルな部分は好感が持てるのですが、10~20代の男子は感情移入しにくいのかと。空羽をもっと前面に推し出しても良かったと思います。
設定や展開にも、もう少し独創性や意外性があっても良かったのかもしれません。想力と七海の設定を考えると、オチも多少予測できてしまいました。
(※あくまで編集者ではなく一人の書き手としての意見なので、あまり真に受けすぎないで欲しいですが……。)
しかし全体的に見て、非常に完成度の高い作品でした。個人的には星4つくらいの印象です。
世界観やキャラ人数を無理に広げず、フォーカスを絞ってまとめたのが良かったです。
安易にハッピーエンドにせず、キッチリ落とし前を付けたのも好きです。
続きを広げることもできそうなので、期待しつつ賞賛を送らせて頂きたいです。
いやぁ、面白かった!