ロボット戦記ものは数多くあれど、この作品ほどに設定とキャラクターをきっちり作り込まれているものはそうないでしょう。
その作り込み具合は国の歴史や、ロボットの操縦システム、キャラクター一人一人の生き様やこだわり、交友関係や因縁からくる憎愛に至るまで……一分の隙もなく完璧に練り上げられているのです。
主人公の愛機アルカシードは(主人公の身につけた武術と相成って)破格の実力を有していますが、それでも戦場は何が起こるかわからないもの。立ち塞がる数多の苦難を数々の秘奥義と、友軍の協力によって乗り越えていく様は胸が熱くなること間違いなし!
ロボットものが好きであれば、絶対に読むべし!
「人」と「人」がふれ合い、ぶつかり合って紡ぎ出すドラマから
圧倒的なリアリティを感じ、それがとても味わい深く面白いです。
それは登場人物のひとりひとりの性格や考え方が
とても丁寧に描かれていて、わかりやすいため、
その心情を読み取ることができるからだと思います。
魅力的で個性豊かな人々。
彼らが織り成す人間模様は、
小規模なものでは個人間の人間関係から
大規模なものでは国家間の外交関係まで
どれも刺激的で面白い。
「大規模な国家間の関係」が面白いのも、
やはりそれに携わる個人の魅力あってこそ。
大小様々な人間模様のどれもを
魅力的に描きこなす力は圧倒的。
フィクションであろうと
ファンタジーであろうと
そこにいる人々は「本物」だと、
そう確信させてくれる傑作です。
異世界に召喚された飛猷流狼達の、熱く王道なファンタジー作品。
恋人を寝取られた流狼の元に現れたアルカシード。その機体には『アル』と呼ぶ精霊が付属されているが、そのアルの小生意気ながらも優秀である所が、何ともいい味を出している。
アルカシードは『王機兵』と呼ばれるオーバーテクノロジーの機体の一つで、『拳王機』の異名通りに拳で戦います。シンプルながらも渋い戦い様……まさにスーパーロボットの鑑でしょう。
明かされる王機兵の存在意義、数々の陰謀が渦巻く大国、そしてロボットバトル。これ程に濃厚で展開が凄まじいロボット小説は他にあるだろうか。
ロボット好き、異世界ファンタジー好きなら一見の価値ありです!
異世界に召喚されたのを皮切りに、次々と舞い込む困難、理不尽。それらをロボットで打ち砕いていくというプロットは、男子の心を魅了します。
しかし単なる勢いだけのロボット物というわけでもなく。国家や人々の対立関係、拳王機・王機兵などの世界観設定、細かい部分まで丁寧に練られている印象でした。
ただせっかくインパクトのあるキャッチコピーや内容なので、もう少し盛り上がる展開や要素を入れても良いかもしれません。その辺はこれからに期待ですね。
主人公の流狼を支えるメインヒロインのアルが魅力的です。……え、ヒロインでしょう?人口知能だのロボットだのは、関係ない!
※8月12日追記
また改めて最初から読まさせて頂きました。
やはり最大の魅力は緻密に作りこまれた世界観や設定であり、これだけの情報量を、しかし読者が逃げない程度に表現できるのは並大抵のことではないと思います。
意外にも本編を通して『アルカシード』の出番は少ないのですが、序盤での登場シーンにインパクト&爽快感が山盛りだったので、多くの読者を掴んだのだと思います。
深く練りこまれた『でっち上げ』の中に光る王道。それこそがこの作品のオススメポイントでしょう。
これからの展開も気になります。
ファンタジー・メカ物として本作が頭一つ抜きん出ているのには、理由があります。
古武術に長けた恋人持ちの主人公という、それだけで中高生のハートを鷲掴みにしそうな造形ですが、さらに異世界召喚で、恋人とは生き別れになって…なんて手に汗握るに決まっているじゃありませんか。
何よりも、徹底的に練り込まれた異世界の歴史と地政学が半端ではないと来ました。
王機兵の誕生にまつわる壮大な過去の戦乱を紐解くだけでも、めちゃくちゃ面白い。異世界召喚の出自や魔術薀蓄も含まれており、数々の要素がきちんと絡み合っています。単に読者ウケするから導入したのではないのです。
最後に構成の配慮。基本は流狼とアルの対話形式で進行しますが、冗長にならないよう場面転換や視点変更も適度に挿入されており、要所要所で目玉のメカ戦闘をきっちり入れて来る隙のなさ。
こんなん絶対ハマるやん…。
個人的には魔力を視覚化できるサイアーがお気に入りです。軽薄な性格も良いですね。
帝国で暮らすヒヨちゃんも気になっていますが…待ち受けるのは残酷な運命か…。
タグに『でっち上げ設定多数』や『SFか悩ましいところ』とありますが、大丈夫ですよ!
フィクションですから作中で説明が付いていれば、現実と異なる設定でも問題ありませんし、異世界だからSFよりも「ファンタジー」でしょう。
自信を持って完結まで書き上げて欲しい力作です!