概要
「賽は投げられた」——で終われない。勇者の『その後』を描く物語。
「勇者は魔王を討ち、世界に平和が訪れた」どの英雄譚も、そこで終わっている。その次の行を、誰も書いていない。
十六歳、アルトは灰の底で死にかけていた。目の前に浮かぶ小さな光は、彼を「勇者候補」と呼び、聞き覚えのない規約を持ちかけてくる。
村は戻らない。それでも彼は、頷いた。
――旅の途中、彼らは何度も奇妙なものを拾うことになる。倒した魔物の跡に残る、人間用の装備。誰かの名が刻まれた剣。誰かの寸法に合った外套。
三人の仲間は首をかしげるだけだったが、アルトだけは、その意味に気づいていた。気づいたまま、誰にも言わなかった。
これは、選ばれた少年が魔王を倒すまでの物語――のはずだった。だが、勇者になった先で何が待っているかを、彼はもう知っている。
賽は、投げられた。あとは、出た目を見届けるだけだ。
十六歳、アルトは灰の底で死にかけていた。目の前に浮かぶ小さな光は、彼を「勇者候補」と呼び、聞き覚えのない規約を持ちかけてくる。
村は戻らない。それでも彼は、頷いた。
――旅の途中、彼らは何度も奇妙なものを拾うことになる。倒した魔物の跡に残る、人間用の装備。誰かの名が刻まれた剣。誰かの寸法に合った外套。
三人の仲間は首をかしげるだけだったが、アルトだけは、その意味に気づいていた。気づいたまま、誰にも言わなかった。
これは、選ばれた少年が魔王を倒すまでの物語――のはずだった。だが、勇者になった先で何が待っているかを、彼はもう知っている。
賽は、投げられた。あとは、出た目を見届けるだけだ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!灰の中から紡がれる、不器用で人間くさい歩み
拝読させていただきました。
重苦しい灰の底から始まり、途方もない数の朝を迎えながら進む彼らの姿に、最後まで目が離せませんでした。
綺麗事だけじゃない、それぞれの泥臭い葛藤や心の揺らぎがすごく丁寧に描かれていますね。
とくに真王との対峙で見せた不器用な生き様には、どこか自分を重ねてしまうような共感がありました。
心に静かな余韻が残る、とても読み応えのある物語をありがとうございました。
よろしければ私の作品の感想もいただけると、今後の執筆の励みになりますので、作品へのご感想やアドバイス、★や♥での応援をいただけるととても嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。