概要
女の名に、誰が値をつけるのか――
天保十三年、大坂。
ある日、一枚の町触が下りた。
芸者も舞子も仲居も、遊郭の外では稼いではならない――。
十六から六年、唄と三味線で座敷を渡ってきた芸者・お糸。
だが役所の紙一枚で、その仕事も、「芸者」という名も消されようとしていた。
店を残すために名を変える者。
借金のため、新町へ送られる者。
町触を商いに変えようとする者。
灯が一つずつ消えていく大坂で、お糸は思う。
芸者でなくなれば、自分は何になるのか。
役所が仕事の名を決めても、女の生き方まで決められるのか。
紙に名を奪われようとする一人の芸者が、
唄と三味線、そして座敷で磨いた目を武器に、自分の残り方を探してゆく。
天保の改革に揺れる大坂を描く、実際の町触れを膨らませた歴史サスペンス。
◆◇◆
本作は、日本歴史時
ある日、一枚の町触が下りた。
芸者も舞子も仲居も、遊郭の外では稼いではならない――。
十六から六年、唄と三味線で座敷を渡ってきた芸者・お糸。
だが役所の紙一枚で、その仕事も、「芸者」という名も消されようとしていた。
店を残すために名を変える者。
借金のため、新町へ送られる者。
町触を商いに変えようとする者。
灯が一つずつ消えていく大坂で、お糸は思う。
芸者でなくなれば、自分は何になるのか。
役所が仕事の名を決めても、女の生き方まで決められるのか。
紙に名を奪われようとする一人の芸者が、
唄と三味線、そして座敷で磨いた目を武器に、自分の残り方を探してゆく。
天保の改革に揺れる大坂を描く、実際の町触れを膨らませた歴史サスペンス。
◆◇◆
本作は、日本歴史時
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「名」と言えば簡単。しかしそれは生きざまそのもの。
触れ書きひとつで、行き場を失う人がいる。
舞台は天保の大坂だが、今だってそうかもしれない。
名前は帳面に並べば、記号でしかなくなる。
本作では女が品物として扱われるような描写もある。華々しい江戸時代に終わりの足音が聞こえる残酷な時代。
「名」と、一文字一音で片付けてしまうのは簡単。でもそれは、
肩書きであり職業であり技術であり、
その人となりを表すものであり、
心の在りよう、生きざまそのものである。
お糸が手放した名もあるが、
手放さなかった名の方が、きっと気高く、尊く、何ものにも代え難い。
人と世の中がどんなに目まぐるしく動いても、
お糸はお糸であり続けることを、決してやめなかった…続きを読む