読むうちに物語が立ち上がってきて切ない気持ちが倍増しました!愛しさと心の痛みが相まって美しいです!
とても抒情的な作品です。君と僕のあわいに生じていく、恋情のずれのようなものを、雨や海や波が包み込んでいく、その物語性が心に響きました。7首目。美しい瞳は僕を見ていない 変わらぬ君は幻を育む歳月が過ぎたことで、互いに対する幻想が生まれ、二人の境界線がどんどん離れていくようで、切なくも美しい1首になっています。どこかモノクロ映画を観ているような静寂が、じりじりと、ひりひりと、心の奥にまで染みてくる、恋の儚さを繊細な筆致で描き上げた短歌集だと思いました。【レビューコンテスト応募】
梅雨のような雨が降る秋の海浜に立ち、七年前の夏へ思いを馳せる男の詩です。私は秋霖という言葉を知らなかったので調べてみたら、秋の長雨のことをいうそうです。この言葉を知らなくても短歌が紡ぐ物語を鑑賞することはできるのですが、タイトルの意味を知ると一層深みが増します。歌は「僕」と「君」の物語なのですが、タイトルが暗示する通り、いや、それ以上に切ない話なのだと私は解釈し鑑賞しました。
秋霖という題名にふさわしく、降り続く雨が時間と記憶をつなぐモチーフとして詠まれた短歌連作。技巧を誇示することなく、情景と心情を丁寧に積み重ねたその上品さがものすごく素敵です。海・雨・波音・故郷限られた素材を繰り返すことで七年という歳月が「僕」と「君」の時間だけを食い違わせたことを静かにでも確実に浮かび上がらせている、とても美しい作品です。
もっと見る