梅雨のような雨が降る秋の海浜に立ち、七年前の夏へ思いを馳せる男の詩です。私は秋霖という言葉を知らなかったので調べてみたら、秋の長雨のことをいうそうです。この言葉を知らなくても短歌が紡ぐ物語を鑑賞することはできるのですが、タイトルの意味を知ると一層深みが増します。歌は「僕」と「君」の物語なのですが、タイトルが暗示する通り、いや、それ以上に切ない話なのだと私は解釈し鑑賞しました。
秋霖という題名にふさわしく、降り続く雨が時間と記憶をつなぐモチーフとして詠まれた短歌連作。技巧を誇示することなく、情景と心情を丁寧に積み重ねたその上品さがものすごく素敵です。海・雨・波音・故郷限られた素材を繰り返すことで七年という歳月が「僕」と「君」の時間だけを食い違わせたことを静かにでも確実に浮かび上がらせている、とても美しい作品です。
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