概要
砕かれた名碗が、八年越しの嘘を継ぎ直す。
北陸の城下町・汀市には、幻の名碗「雪紅」の伝説が残されている。雪のように白い肌を、一筋の紅が走る奇跡の茶碗。だが披露を目前に碗は消え、翌朝、住み込みの繕い師が川で遺体となって発見された。人々は、彼女が名碗を盗んだのだと噂した。
八年後。かつてその噂を広めるきっかけを作ってしまった三上尚人は、陶工の道を捨て、繕い処「継処たちばな」で働き始める。寡黙な主人・有坂千景のもとへ持ち込まれる、割れた香合、砕かれた切子、偽りの呼継茶碗、そして紅の残る五片の陶片。それぞれの器に刻まれた傷と嘘は、やがて八年前の死と「雪紅」の真実へと繋がっていく。
割れ口は嘘をつかない。継ぎ目は隠さない。
金継ぎの技と四季の移ろいを通して、奪われた名と歪められた記憶を継ぎ直す、工芸本格ミステリ。
八年後。かつてその噂を広めるきっかけを作ってしまった三上尚人は、陶工の道を捨て、繕い処「継処たちばな」で働き始める。寡黙な主人・有坂千景のもとへ持ち込まれる、割れた香合、砕かれた切子、偽りの呼継茶碗、そして紅の残る五片の陶片。それぞれの器に刻まれた傷と嘘は、やがて八年前の死と「雪紅」の真実へと繋がっていく。
割れ口は嘘をつかない。継ぎ目は隠さない。
金継ぎの技と四季の移ろいを通して、奪われた名と歪められた記憶を継ぎ直す、工芸本格ミステリ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!器の傷から八年越しの嘘をほどく、静謐な工芸ミステリ
金継ぎをはじめとする器の繕いの技法が、単なる舞台設定ではなく、物語の構造そのものになっている点がとても印象的でした。割れ口を読み、継ぎ目を隠さず、器の来歴を確かめるという職人の仕事が、そのまま過去の事件に隠された嘘を見抜く推理へとつながっていきます。
春の香合、夏の切子、秋の呼継茶碗、冬の白茶碗と、それぞれ独立した謎を楽しみながら、少しずつ八年前の「雪紅」の真相へ近づいていく構成も見事でした。一見すると無関係だった器や依頼人たちが、終盤で一本の線につながる瞬間には大きな驚きがあります。
特に良かったのは、犯人や真相を暴くことだけで終わらず、盗人とされた繕い師の名誉、罪悪感を抱えて生きてき…続きを読む