概要
鋼鉄の檻の中で、私の血だけが、人間だったと泣いている。
目覚めると、私は昼も夜もない暗黒の檻の中にいた。感覚を失った肉体。強制的に開かされたまま、閉じることの許されない瞼。気が遠くなるほどの時を経てカプセルから這い出た私が目撃したのは、皮膚も肉もなく、剥き出しのチタン骨格の奥をドクドクと流れる、自分自身の「赤い血液」だった。蘇る幸福な家族の記憶と、兵器に変えられた残酷な現実の狭間で、自我はバキバキと崩壊していく。死を望み、己の頭部を握りつぶそうとした瞬間、脳を焼き尽くす激痛とともに【生存プロテクト】が起動した――。これは、死ぬことすら許されない化け物が、愛と後悔の果てに自らを破壊してくれる「救済」を求める、あまりにも切なく凄惨なダークSF。
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