概要
そう思った月島紬《つきしま・つむぎ》が目を覚ましたのは、生と死のあわいにある不思議な駅だった。
薄明かりのホームに立っていたのは、人間の姿をした少年。
けれど紬は、彼が誰なのか、すぐにわかった。
差し出した手に触れる前、必ず一度だけ手の甲をこつんと押してくる癖。
歩くとき、いつも左側に回り込む癖。そして、日なたで眠った毛布みたいな匂い。
死んだはずの愛犬、リクだった。
「迎えに来たんじゃないよ。追い返しに来たの」
そう言ってリクが差し出したのは、過去へ戻るための切符だった。
行き先は、紬が置き去りにしてきた朝ばかり。
言えなかった言葉。
伸ばせなかった手。
守れなかった約束。
そして、最後まで見送れなかった、小さな背中。
リクに叱られ、手を引かれながら、紬は
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!もしかしたら会えるかもしれない、かけがえのない存在
もしも貴方がちゃんと人生を全うできたなら、喜びの再会が出来るでしょう。
でももし不意に亡くなってしまった時、人生半ばでその生命を自ら断つような事があった時、運が良ければ彼らに遭う事が出来るかもしれません。
不幸ではあるけど、幸運な出来事。
もし貴方自身に非がある様なら、素直に叱られて下さい。
とても可愛い彼らを困らせる様な事はしないで下さい。
そして、彼らの言う事を聞いて、安心させてあげて下さい。
本来なら、まだまだ先になるであろう再会の前倒しです。
本当なら、あっちゃいけない事なんです。
でもその時の幸せは心の奥底に大事にしまっておいて、ちゃんと彼らにお土産を用意してあげて下さい。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一人でも歩いていけるように。
この作品は、病気で目が見えなくなってしまった主人公・紬(つむぎ)が目が見えない自分を受け入れることができず自ら命を絶ってしまった所からスタートします。
気がついたのは辺り一面が真っ白な“朝待ちの駅”。
そこには、かつて紬が飼っていた犬のリクが人間の姿をして彼女を待っていました。
――。
こんな物語です。
全てが素晴らしくて、涙腺崩壊ものだったのですが………。
ほんと、兎に角読んで欲しいです。
美しい情景描写、紬とリクの心情、朝待ちの駅での様々な出会い。そして家族愛。
改めて、ペットと人間――動物たちと我々人間の寿命の違いを感じさせられました。
そして、大切な思い出を共有している同士…続きを読む - ★★★ Excellent!!!傍にいる、それだけで応援だと気づかないなら、きちんと言うから
ペットは飼い主の傍にいます。人間の言葉は、一文字も喋りません。時折、それぞれの種の鳴き声を上げて、飼い主の傍にいます。
人生をやり直す物語は数多あり、神が力を貸してくれる点も同じですが、この物語で巻き戻せるのは僅かな時間だけで、巻き戻した後での才能も前回の自分と同じ。自力でやり直すよう諭された人々の傍らにいるのは、飼われていたペットたち。
傍にいる、離れていかない、それだけで応援していました。飼い主がそれに気づかないなら、神から力を借りて、人間の言葉できちんと言うから。
言葉は助けにも凶器にもなります。時には意見の違いが見えたからこそ孤独に陥ることもあります。それでも。人生をやり直すと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最高の感動、涙が止まりません!
今まで読んだ小説の中で、一番心を動かされた作品でした。何話も泣いてしまって、本当に涙が止まりません。
紬とは年齢も近くて、家庭のことも重なる部分があったので、どうしても他人事とは思えません。
だから、この作品からもらったのは感動だけじゃありません。私も前を向いて生きてみようと思える勇気をもらいました。
リクの紬への愛が本当に深くて、優しくて、何度も胸がいっぱいになりました。紬がこれから少しずつ笑顔を取り戻して、幸せになってくれたらいいな、心から思います。
完結、本当にお疲れさまでした!こんなに素敵な小説を届けてくださって、ありがとうございました! - ★★★ Excellent!!!書籍化されたら、迷わず手に取りたい物語
『陸へ、紡ぐ』を最後まで読ませていただきました。
亡くなった愛犬のリクと、生と死のあいだにある駅で再会する。最初は、悲しい別れを描いた物語なのだろうと思っていました。ですが、読み進めていくうちに、これは別れの物語というよりも、紬がもう一度、生きるほうへ戻っていく物語なのだと感じました。
リクが紬に向ける厳しさも、すべて紬を大切に思う気持ちから生まれたものなのでしょう。その姿がとても犬らしく、だからこそ余計に胸に残りました。ペットと暮らしたことのある人なら、きっと深く共感するのではないかと思います。
また、紬が視力を失ったあとの世界も、とても丁寧に描かれていました。音や匂い、触れた感覚な…続きを読む