概要
Web小説を書いている男は、大きなコンテストに落選する。
なぜ選ばれなかった。 俺の番は、いつ来る。
落選の事実を受け止めきれない男は、投稿サイトとSNSを行き来するうち、いつも感想をくれていた読者・梅ヒジキの言葉にようやく目を向ける。
梅ヒジキの好意は確かで、優しく、救いにも似ていた。けれど、それは同時に男が縋ろうとした「誰にも読まれなかった」という逃げ道を塞いでしまう反証でもあった。
念のためですが……私(作者)はいただくコメントはどんなものでも本当に嬉しいタイプです。
梅ヒジキのように、作品を読んで言葉を残してくれる人は本当にありがたい存在だと思っています。だからこそ、閼伽井のしたことは肯定できないものとして書きました。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!光に晒されつづけ、慣れてしまった男の望み
本作は10000字近いのにもかかわらず、気がつくと読み終わっていて、二周目を読み始めてしまいました。長さを感じさせない、傑作短編です。
本作の主人公である男は、WEBで小説を書いていた。元々、男は小説を書くのは楽しんでいた。読まれることを覚えてしまうまでは。
男の作品によく訪れ、応援コメントを書いてくれる人がいた。その人の名前は「梅ヒジキ」。いつも、何行も何行も男の作品に対する感想を書いてくれていた。
梅ヒジキの熱量を、男が疑うことはなかった。しかし、梅ヒジキの感想は男が想定していたものとは違うことが多く、男の意図とは反したコメントばかりで——といったお話です。
静かながらも、男の心…続きを読む - ★★★ Excellent!!!カク側としてすごく共感できる作品
数字で評価される時代だからこそ、最初は純粋に「書くこと」が楽しかったはずなのに、いつしか評価や順位ばかりを気にしてしまう——そんな創作者の心の変化が、とてもリアルに描かれていました。
作品は作者の意図どおりには読まれない。それでも、誰かが時間をかけて読んでくれること、言葉を尽くして感想を伝えてくれること、応援してくれることの尊さを、主人公は見失ってしまいます。その姿は苦しくもあり、同時に考えさせられました。
創作をしている人はもちろん、何かを発信したことがある人なら、きっと心に刺さる作品だと思います。本当に自分を支えてくれている人の存在を見失わないようにしたい——そう改めて感じさせてくれ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!創作の業を抱えてしまったWeb小説家の話
Web小説家のガチ勢の書き手である閼伽井(アカイ)と、エンジョイ勢の梅ヒジキ。
梅ヒジキの解釈違いな感想に、少しずつ少しずつ磨耗していた閼伽井は、ある大きな賞に落ちた日、ある事に気づいてしまう。
Webに創作物を置いた事のある人であれば、「表現出来る事が楽しかったはずなのに、いつの間にか数字を求める」「なぜ自分ではない」という思いを、大なり小なり感じた事があるのではないかと思う。
そこを、エッジを効かせて増幅し、心を引っ掻く物語になっている。
「褒め言葉には揮発性があった」
──この言葉なんて、特にゾクッとする。
私は、「臆病な自尊心と、尊大な羞恥心」という有名な文を彷彿とさせる閼…続きを読む - ★★★ Excellent!!!望まれていない男の望み。
自分が世間に望まれていない存在だと悟ることほど、悲しいものはない。
とある男もそうだった。理由もなく忌み嫌われているようでもあった。
いや、彼の場合は、まったく望まれていないわけではない。少しズレた形で称賛を贈ってくれる人がいる。それがほんの少し、男の感性を逆撫でする。
まるで自分の最初期、勢いだけで突き進む愚かさと眩しさを持った、そんな人が――
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本来、創作の道を突き進むことは――昨今登場した目的、ビジネスやエンジョイを除くと――生き地獄である。
本物を目指す者たちは、自分の提示する自信作を偽りだと、語るに足らぬと断じられ続ける。
時代が本物を規定するのか――…続きを読む