パン屋の息子が主人公というと、どことなく牧歌的な印象があります。けれど漂ってくるのは、芳ばしい麦の香りだけではありません。そこにあるのは、本格ミステリ特有の刺激と不穏な湿度。熟成されたパンのように、発酵の科学が謎解きにしっかり練り込まれていて、パン酵母ってそういえば微生物だったなと、嫌でも思い出してしまう感触がたまりません。意表を突く組み合わせで焼き上げられた本格ミステリを、どうぞ召し上がれ!
もっと見る