概要
猫が死んだ日に、彼女が出て行った。俺の言葉はいつも、届く前に消える。
猫のジロウが死んでいた。
段ボールを探してこなきゃいけない。彩乃が帰る前に、何とかしなきゃいけない。
でも体はまだ柔らかかった。急がなくてもいいと思った。
それに、俺は酒が飲みたかった。
大学を出て就職しなかった二十六歳の岸本渉は、バイクで国道24号に出る。
公園で老人からチューハイを一本もらい、国道沿いの居酒屋で五杯飲み、夕暮れの奈良を走って帰宅する。
彩乃の車はなかった。
ローテーブルの上に、折り畳んだ紙があった。
「猫のこと、ちゃんとしてあげて。彩乃」
ジロウはもう死んでいた。彩乃はそれを知らなかった。
あるいは知っていて書いたのか。俺には分からなかった。
段ボールを探してこなきゃいけない。彩乃が帰る前に、何とかしなきゃいけない。
でも体はまだ柔らかかった。急がなくてもいいと思った。
それに、俺は酒が飲みたかった。
大学を出て就職しなかった二十六歳の岸本渉は、バイクで国道24号に出る。
公園で老人からチューハイを一本もらい、国道沿いの居酒屋で五杯飲み、夕暮れの奈良を走って帰宅する。
彩乃の車はなかった。
ローテーブルの上に、折り畳んだ紙があった。
「猫のこと、ちゃんとしてあげて。彩乃」
ジロウはもう死んでいた。彩乃はそれを知らなかった。
あるいは知っていて書いたのか。俺には分からなかった。
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