概要
焼け跡に立つ白い化け物は、左右対称で、空洞だった。
1946年、東京。爆撃で焼け尽くされた街の廃墟に、少年とも少女ともつかない存在が立っていた。
名前は施羅(せら)。包帯と銀の鎖で身体を拘束され、完璧な線対称の顔を持ち、世界を設計図として見る。見る者によって男に見えたり女に見えたりする、天使のような、標本のような何か。
施羅に恋をした峰子。施羅を所有しようとした元将校・一ノ瀬。施羅の身体を五年間研究し続けた真壁教授。そして、施羅を見届けようとした語り手「俺」。
バルザックの小説に登場する両性具有の天使「セラフィタ」、スウェーデンボリの神秘思想「相応(コレスポンダンス)」を下敷きに、昇天という現象を解剖学的に、冷徹に描く。
施羅は、どこへ行くのか。
そして語り手は、何を手に持ったまま、1946年の秋を歩くのか。
名前は施羅(せら)。包帯と銀の鎖で身体を拘束され、完璧な線対称の顔を持ち、世界を設計図として見る。見る者によって男に見えたり女に見えたりする、天使のような、標本のような何か。
施羅に恋をした峰子。施羅を所有しようとした元将校・一ノ瀬。施羅の身体を五年間研究し続けた真壁教授。そして、施羅を見届けようとした語り手「俺」。
バルザックの小説に登場する両性具有の天使「セラフィタ」、スウェーデンボリの神秘思想「相応(コレスポンダンス)」を下敷きに、昇天という現象を解剖学的に、冷徹に描く。
施羅は、どこへ行くのか。
そして語り手は、何を手に持ったまま、1946年の秋を歩くのか。
ここまでの歪みに耐えてくれて、ありがとう。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!その白き光は焦土に満ちて。
爆撃により廃墟と化した灰色の街に降り立つ
施羅。それは見る者によって少年とも少女とも
認識される美しき 異形 のもの。
完璧な左右対称の美しい白磁の顔の白銀の
髪を持つ。首から下は包帯と銀の鎖で拘束され
瓦礫の山に立つ。
少女と、そして語り手の少年は 施羅 に
魅せられて、その住まいでもある白亜の
スウェーデン館に通い始める。
世界の設計図として、そこに在る。熾天使の
名を持つ
施羅 とは一体何者だったのか。
バルザックやスウェーデンボリを下敷きに
書かれたのだというこの作品は、その知識も
さる事ながら、静謐さと硬質な美しさに
彩られつつ、登場人物たちの持つ 虚無 …続きを読む