概要
【筆致が変える物語】の参加作品です。
以下のレギュレーションに沿って制作しました。筆致の違いをお楽しみください。
タイトル
「嘘と桜とレモネード」
タイトル固定
◼︎登場人物
・春香(はるか)
とある事情で、桜が咲く頃には街を離れることが決まっている。
・颯太(そうた)
とある事情で、しばらく街から離れることができない。
◼︎あらすじ
早春。
桜の季節を前に、春香は颯太を呼び出す。
二人は「いつもの場所」で再会し、久しぶりに言葉を交わす。
二人の間には、まだ手のつけられていない二人分のレモネードがある。
他愛のない会話が続くが、その中に「ある嘘」が混じっている。
やわらかな春風が吹き、やがて二人は別れの時を迎える。
桜はもうすぐ、本格的な開花を迎えそうだ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!信じるということの重さを、こんなにも切なく描いた作品
冒頭のレモネードが最後まで物語の軸として生き続け、甘さと酸っぱさが二人の関係そのものになっている構成がいいですね。
異世界ファンタジーでありながら、本当に胸を締めつけられたのは、残された颯太の現実でした。警察、マスコミ、時間とともに薄れていく記憶、一方通行のメッセージ……待つ側の苦しさがとても丁寧に描かれていて何度も胸が痛くなりました。
そして再会の喜びだけで終わらず、最後に漂う彼女は本当に元のままなのだろうかという静かな不穏さ。血の匂いと最後の一文が、この物語を単なるハッピーエンドでは終わないのもあとに残りますね。
タイトル『嘘と桜とレモネード』も読み終えた瞬間に意味が変わるのも好きです。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一筋の恋の雫を味わうために、少女は屍山血河を越え、少年は想いを送る
最初は、異世界系にはまって行方不明になる少女の話か、異世界転移した彼女との切ない別れの話かと思いましたが……
展開しました。良い意味で予想外の方向に――
主人公の少年の語りが情緒的で、繊細な為、待つ者の痛みがじんわりと伝わってきて、苦しくなりました。
全体が五個の節に分かれている点も面白く、それぞれ色んな要素が詰まった良いところ取りではあるんですが、そういった作品にありがちのパッチワーク感がないのは、遠くへ行ってしまった恋人を思い続けるという主題が、一本通り続けているからだと感じました。
短編ですが、まるで長編小説を一本読み切ったかのような満足感を与えてくれる一作でした! - ★★★ Excellent!!!レモネードは、三年越しの再会の味……?
いちばん印象に残ったのは、再会そのものよりも、最後にほんの少しだけ残される「――の匂い」でした。
春香が帰ってきて、レモネードを飲んで、やっと二人の時間が動き出すところはすごく嬉しいはずなのに、その奥では不穏な気配も残っていて。
再会の甘さを壊さずに、三年間の時間の重みまで感じさせてくれる終わり方でした。
レモネードの使い方もとても印象的でした。
幼い頃の思い出、別れの日に飲まれなかった一杯、待ち続けるための儀式、そして帰ってきた春香に渡す最高の一杯。ずっと同じ飲み物なのに、その都度意味が変わっていくのが好印象です。
蜂蜜や塩まで入った具体的なレシピがあるからこそ、二人の関係がちゃん…続きを読む