概要
魔法がすべてを解決する世界で、あえて「メス」を握る女医がいた。
王都の医局を追放された偏屈な天才幻獣医・ヒコナが流れ着いたのは、最果ての霊峰エコーロア。古びた看板に『ヒコナ診療所』とだけ記された小さな建物だ。
そこは、渡り鳥のようにワイバーンの群れが飛び交い、巨人の足音が地響きを鳴らし、不死鳥すら息づく神話の世界。ハーフリングの少年助手・ステトは、そんな途方もない大自然の中で今日も薬草をすり潰している。
この辺境の診療所に担ぎ込まれるのは、骨を喉に詰まらせた冥界の番犬(ケルベロス)、痛風で飛べなくなった空の王者(ワイバーン)、過労でうつ病になったユニコーンなど、厄介な「幻獣」ばかり。
どんな巨大な魔獣でも、ヒコナは決して怯ま
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「医療」を別側面から解釈したほっこり診療録。
このファンタジー世界は「魔法」と呼ばれる便利なものがあるので、「医療」というものが古きものとして扱われております。魔法でちょちょいのちょい♪で治療してきたお偉い方から見て、ヒコナ先生が行う「医療」というものは非常に泥臭く、時間のかかる無駄の多い作業と思われるでしょう。
ですが、魔法で心は直せません。傷は治っても痛みを伴います。
ヒコナ先生が行う医療は相手が人間ではない(ほぼ幻獣や異種族)が相手に寄り添い、最善の方法を導き出します。
現代医学にも通じることで、この寄り添いこそが最大の魔法と私は思っております。
ヒコナ先生の寄り添いとできる最大限の医療行為が沢山のひとの笑顔と感謝を表出しておりま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!魔法がある世界で、敢えて外科手術に挑む。そうすべき理由が、ここにある
治癒魔法や回復魔法が普及すると、おそらく比例して減衰するだろう技術。
その一つが間違いなく医術。
魔法それ自体が高価であったりしても、技術としては「稼げる部分が持って行かれる」わけで、医術に拘る必要性は低減します。
では、それでも医術を目指す価値はあるのでしょうか。
倫理と価値観。
そのはざまで、主人公は医術の腕を奮います。幻獣相手に。
時にコミカルに、時にはシリアスに。
読後感に残る余韻は、軽いタッチの読み心地の裏に潜む命題。
「それでも」「だからこそ」の意味合いが作品に直結する。
そんな読み応えのある作品です。 - ★★★ Excellent!!!幻獣という患者、幻獣という生命
幻獣が存在して、魔法もあるファンタジーな世界観。
幻獣達は幻獣という超常の存在である以前に、彼等は生物であるからこそ、医者であるヒナコ先生は魔法を使わずに治療をしていく。
ヒナコ先生の治療シーンはその技量の高さと知識量を読者に見せつつ、先生の生命に対する真摯さを同時に理解させてくれます。そして、助手のステトの心に寄り添う描写もまた治療の一種になるのが素敵でした。
治療はその原因を取り除いて終わりではなく、幻獣達にもまた人生があり、治療を終えた後の日々もあります。
それだけに、治療後の彼等がまたいつも通りに過ごせる様になるまでの丁寧な描写は、ヒナコ先生の真摯さと、同時にこの作品のテーマに対…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幻の獣は、遠くて近い。
ファンタジー世界で生きるひとりの医師が扱うのは、数多の幻獣。
作者様の頭の中で構築された世界に息づく「命」たち。
その理や身体構造、食べる者や生きる環境は
現実に生きる我々の世界とはかけ離れた
まさに「幻」の中の世界だ。
けれども一度ページを開いてみてほしい。
異世界でも、幻獣でも、そこにあるのは変わらない「命」なのだ。
痛風にもなれば、ストレスで病気にもなる。
それを魔法のある世界だからといって便利に治癒してしまうのは違う。
現在、連載は第3話です。
ここまで読めばまず、
魔法のある世界で主人公・ヒコナ先生が魔法に頼らない意味が分かる。
痛いほど分かる。
「病」や「傷」を癒すこと…続きを読む