概要
「――死なせてはあげないわよ。あなたが私の庭を彩る、最も美しく、最も無慈悲な牙になるまでは」
傷と孤独から始まる、ダークファンタジー×人外恋愛。
王都の支配から逃げ出した、漆黒の角を持つ魔女ベルローズ。
ある夜、彼女は満身創痍の蒼い幻獣を拾った。
首には、聖銀で作られた首輪。身体には無数の傷。
それでも、その獣は最後まで、生きることを諦めていなかった。
ベルローズは首輪を砕き、自らの魔力を分け与えて、その命を繋ぎ止める。
やがて目を覚ました幻獣ルシアンは、耳と尾を残した不完全な人の姿で、彼女の騎士となった。
冷徹で、他人に興味などないはずの魔女。
けれどなぜか、拾った獣のことだけは放っておけない。
そして
あなたの時間を私の物語に使っていただけたことが、何より嬉しいです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!こんな風に世界を見る人がいるのか。
それが、この物語を読み始めたときの、最初の印象でした。
世界はとても鮮やかで、たくさんの色と香りと、手触りで出来ている。
毎話、この世界に触れるのが楽しみでした。
書き手の世界の感じ方がキャラクターにもしっかり向けられていて、そのうち、登場人物が見ているもの、触れるもの、感じていることが、自分の中にも鮮やかな風景となって鮮明に立ち上がっていて、気が付ついたときにはもう手遅れでした。
四人をすっかり好きになってしまい、彼らに会うのを楽しみに、ドラクロワ城に通うようになりました。
中盤からは、ほとんど友達に会いに行くような気持ちで、みんなが悲しいときに悲しくなりーの、楽しいときに楽しくなりー…続きを読む - ★★★ Excellent!!!圧倒的な映像美と緊迫感で描かれる、極上のダークファンタジー
「首筋に突き立てられた聖銀のプラグ」という、ファンタジーでありながらどこかSF的・ディストピア的な搾取を思わせる衝撃的なモノローグから、一気に世界観に引き込まれました。
愛した男から「醜い不具合」と角を拒絶された魔女ベルローズが、同じように王都に尊厳を縛られた蒼い幻獣に出会い、その姿にかつての自分を重ねる。この「拒絶と救済」の対比が、夜の薔薇園という美しいロケーションの中で鮮烈に描き出されています。
「漆黒の髪が夜を溶かしたように」「季節外れの薄氷のように白く凍らせている」など、冷たさと美しさが同居したハイセンスな描写が散りばめられています。
血の鉄臭さと過負荷の魔力が混ざる庭園の空気感が、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!傷と誇りが静かに溶け合う、ダークファンタジー
「その川に、春の低音は」の繊細な現代恋愛を書いた作者が、こんな質感の世界観を同時に描いているということに、まず驚く。
第1話の筆致は重厚で、霧と薔薇と聖銀の首輪が作る世界に、読者を引き込む力が最初の一文からある。「首筋に突き立てられた聖銀のプラグが、魂を数字へと変えていく」この冒頭だけで設定と痛みが同時に伝わる。
ベルローズが泥の中の幻獣に歩み寄る場面は、「その川に」とは対照的に感情が一切説明されない。「私と、同じ」というたった三文字の内省の後、そのまま行動に移す。管理の象徴である首輪への憎悪と、かつての自分への投影が、ひとつの動作に収束している。
「噛みたければ噛みなさい。私の指を食いちぎ…続きを読む