創作落語とホラーがお得意の山本倫木さんが書かれた1分小説です。
とてもコンパクトにぎゅっと引き締まったキレのある作品です。テーマを死体と桜だけに絞って、その分、情景描写と心理描写を充実させているのが伝わってきます。
冒頭の「祖父の家にある桜の古木は、春が訪れるたび見事な花を咲かせる。ある年、祖父がぽつぽつと語ってくれた。あれはタロウが咲かせてくれているんだ、と。」で70字くらい使っちゃって勿体ない気もしますが、この2行の情緒ある文章で引き締まって、ぐっと引き込まれますね。
短いので、ストーリーを語るとネタバレが激しいのでやめておきますが、ホラー色は薄目ながら、なんとも気味の悪い人間心理を垣間見ることのできる作品です。
1分小説のお手本のような見事な作品でした。
これはお勧めです。ぜひどうぞ。
読み終えた後、「あっ、察し……」と思わずにいられません。
桜の木の下には、死体が埋まっているという話。
ここ掘れワンワンな「タロウ」という犬が埋まっている話があるという。
なんとなく馴染みがあるような、日本人としては受け入れやすい話です。
しかし、物語の最後に「祖父」がその桜について「とある事実」を語り始めます。
ここでもう、「何があったか」の想像ができます。もしも、この先で桜の木の根元を掘ってみることをしたら、そこから出てくるのはなんなのか。
意外とこういうこと、世の中ではこれまで本当にあったんじゃないか。そんなことも思わされ、どんよりとした不気味さを感じさせられました。