桜の花に色がつくのは……

ほのかにピンク色になるのは、根元の死体の血を桜の木が吸っているから。
とはよく言った物でして……。




いや、

多分、気のせいです。

そんなはずがないんです。

そんな、恐ろしくも哀しい事件が、近所で起きるはずがないんです。でも！

全くないとは言い切れないところに、この物語の怖さがあります。





そういえば昔、満開の桜の並木の下で、母親に手を引かれる小学生が言った言葉を覚えています。


「なんか怖いね」


それが、桜に対して言ったことなのかはわかりませんが、
あまりに美しさが過ぎるものは、恐ろしくも見えてしまうのだ。と、あの時学びました。