とけない魔法は独りの夢、大勢の夢の循環の中に

大阪いのちの博覧会。湊は母の病を治す手がかりを探して、ここを訪れた。しかし、大変な混雑に、どの人気パビリオンも回れないまま帰る時間となってしまう。幾重にも絶望を上塗りしたその時、大屋根リングから潮風が通り抜けてくる。

展開やキャラの受け答えが良い意味で荒唐無稽で、意外性があって、すごく面白かったです。シーソーみたいに切なさとドタバタがやって来て、泣けたり楽しくなったり、感情が大きく振り回されました。
湊の「母の病が治って欲しい」というのは、いわば夢であるし、そのための手がかりを探して博覧会に来たというだけで、彼は夢への一歩を踏み出しているのだと思いました。
その歩みが何歩続くかはわかりません。歩み続けたところで、夢にたどり着けるかもわかりません。でも、彼がもし足跡を遺したのなら、その分だけ人類は魔法を会得して、やがては「未来の湊」を救うことになるのだろうと思います。
どうせ見るのなら、悪夢よりも夢を見たい。「遊べっ!」という言葉が心に響きました。
素晴らしい作品をありがとうございました!

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