この世界の全てを救う愛を、未来へ託して
- ★★★ Excellent!!!
国語の教科書に載ってもいいような、感動的な、そして問題提起のある作品だと思いました。
お母さんは、主人公を産む時にすごく悩んだと思います。病気の自分が母になっても良いのか。本来なら独りで誰にも迷惑をかけずに生きて、死んでいくのがいいのかもしれない。でも、愛されたいと願ってしまった。
自分は今でも、親のエゴで生まれてきたのだと恨みに思っているので、お母さんの葛藤は、心に響きました。
私は、病気があり、障害者なのですが、時たま「あなたのこんな状況で家族なんて持ってはいけないよ」という言葉をかけられます。反対に、「あなたの年齢なら、自分の家族を持つべきだし、仕事にも就いていないのはおかしいよ。いくら障害者だからって、障害に甘えてる」という言葉も、時たまかけられます。
人間は、その「人間」という言葉の通り、人の間で生きています。
生きているだけで誰かに迷惑をかけるのなら、何もしない方がいいのではないか?
生きていると誰かを不幸にまでしてしまうのなら、ここに居てはいけないのかもしれない。
ずっと、こんな思いを抱えて生きている自分です。
しかし、この物語は架空のものではありますが、そんな自分の思いを受容してくれました。
主人公も、お父さんも、主人公が想像しただけかもしれないけど、お母さんも、優しい愛でいっぱいです。
この家族には、思いやりが溢れていると思いました。
人間は、人の間で生きている。
その繋がりは、どうしたって求めてしまうし、夢見てしまうし、願ってしまうものなんだと思います。
永遠の命や、病気のない世界が、本当に善いだけのものなのかは、その未来になってみないとわかりません。
しかし、幸せを求めるということは、強い信念であり、その信念は、確かにこの現実を動かしているものなのだと、この作品を拝読し思いました。
読んでいたら、感動の涙がちょちょぎれてしまった自分です。
あづま先生、素晴らしい作品をありがとうございます!