時々書くかもしれない日記のようなもの

月代零

2025年8月某日、プリンタが壊れた件

 これは、2025年の8月初め。コミックマーケット106――今年の夏コミの開催が迫った、ある日のことだった。


 その日は、夏コミまであと1週間余りだった。5月の文学フリマ東京で新刊を出したが、夏コミで新刊を出すほどには原稿を書けていなかった。次の新刊は11月の文学フリマ東京で出す予定だが、そこまで何もないのは寂しい。

 だからせめて数ページのコピー本を作ろうと、突貫で4000字ほどのエッセイを書き上げ、自宅のプリンタで印刷しようと試みた。


 レイアウトを調整し、いざ印刷。

 印刷データがプリンタに送信されていく。ウィーン、ガーッと紙が送られる音がした。

 始めの数枚は、問題なく印刷された。しかし、次第に色が薄くなり、ついには何も印刷されていない、真っ白な紙が出てきた。


 何故だ。何かミスったか?


 表示がおかしいのでなければ、インクはある。プリンタが既定になっていることを確認して、もう一度印刷ボタンをクリック。

 しかし、再び真っ白な紙が排出されてきた。


 どうしたことだ。


 他に原因が考えられるとしたら、ノズルが詰まっていることか。

 試しにノズルチェックパターンを印刷したら、黒インクの部分が全く印刷されなかった。


 よし、原因判明。クリーニングを実行したところ、掠れてはいたが、黒が印刷できた。

 よしよし。けれどまだ不十分なようだから、もう一度強制クリーニングを実行した。


 うーん、まだ微妙に掠れている気はするけれど、まあ許容範囲だろう。

 さて、本作りに戻ろう。


 しかし、改めて原稿を印刷しようとしたところ、きゅるきゅるきゅる……と、紙がなくなってローラーが空回りする時のような音がした。


 いやまだ紙入ってるよね?


 確認しようとしたところ、ガガガガ……と、通常では聞かないような音がして。  

 次の瞬間、ピピピピッというエラー音と共に、「プリンタにエラーが発生しました。一度電源を切り、入れ直してください。それでも改善しない場合、修理を依頼してください」というようなメッセージダイアログが表示された。


 マジか。

 とりあえず、表示された通り、一度電源を落とし、入れ直した。そして、もう一度印刷を試みる。


 そして、再び先程と同じ、きゅるきゅるきゅる……ガガガガガ……という怪しげな音がする。しばらくすると、先程と同じエラーメッセージが表示された。


 血の気が引いた。 

 終わった。これは壊れた。


 夏コミまであと一週間と少し。明日の仕事帰りに最寄りの家電量販店行って買い替えれば、そして在庫があってすぐに配送してもらうことができれば、本が出せる。

 財布には痛いが、仕方がない。出そうと思っていた本を出せないことの方が、限界同人作家にとっては心にくる。


 まあ、10年ほど前のモデルではあったし、調べてみたら修理対応も終了していた。寿命だろう。

 今までありがとう。さようなら。


 次の日、全力で仕事を終わらせ定時で上がり、家電量販店に直行。少し悩んで、価格が手頃だった、最新機種より一つ前くらいのモデルを購入した。在庫があったので、明後日には配送してもらえるとのことだった。よかった。

 セットアップして、印刷開始。今度こそ、無事にコピー本を作ることに成功した。

 

 新しくやってきたプリンタは、前のものより一回り小さく、印刷も幾分早かった。月日の流れを感じた。

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