シャーロック・ホームズの異界録 V：反転探偵の肖像

ロンドンを震撼させる連続殺人事件。その犯行の痕跡は、誰よりも“名探偵シャーロック・ホームズ”の手口に酷似していた。

――指紋、足跡、推理手法、そして犯行声明。
まるで“もう一人のホームズ”が存在するかのように。

自らの潔白を証明すべく、ホームズは奇怪な事件の背後を追ううち、やがて“鏡の世界”に通じる歪な通路へと足を踏み入れる。

そこは、全てが反転したロンドン。秩序と混沌が入れ替わり、善と悪の定義すら覆される場所。

そこでホームズは出会う。
“自分”と同じ顔をしたもう一人の名探偵――いや、“殺人鬼”。

正義と悪意、探偵と犯人、光と影。
二つの世界が交錯する時、問われるのはひとつ。

「名探偵とは、誰のために存在するのか」