十二月三十一日(モラ逃げ一三〇目)、大つごもり。

 今日でモラ逃げ一三〇日目だ。大晦日。二十一世紀ももう四半分が終わるのだ。


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 TOEICの公式問題集の学習モードに分野別のコマンドがあることに気付いてそれでリスニングの音声を繰り返し聴いている。

 やはり自分の聴き取りと語彙の力はかなり低いようだ。

 単語帳はもう五個目だが、作るだけでまともに見返せてはいない。

 それでも昔よりは力の上がった自覚はあるから、元が本来TOEICの求める基準の中ではあまりにも出来なかったのだろう。


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 午前中から昼にかけていつも通り部屋の掃除をしたが、「大掃除」というほど特別なことは出来ずに終わる。

 そもそもこの時期はゴミの回収も無いのであまりゴミが増えるのも困るのだ。


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 午後に散歩でまた次女の希望で書店に行く。

「あの親子はいつも立ち読みしかしない」

と店員さんにマークされるのは忍びないので文具コーナーから割引品のシャープペンの芯をまとめ買いする。

 これなら本より場所も取らないし、勉強中の今は消費も出来る。

 次女はまたカービィのシリーズを読んでいた。明日渡すお年玉でまたうちにあるシリーズが増えるかもしれない。


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 三日ほど前から他県に勤めている兄も戻っていたが、今日は都内で働く弟も夕方になって帰ってきた。

 夕飯は六人ですき焼きにする。

 九歳になったばかりの次女だけが子供だ。

 長女も今頃は夫の実家で同じ様に一人だけ子供として過ごしているのだろうか。


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 樋口一葉の「大つごもり」は商家に女中奉公を始めた貧しく美しい少女が生家を救うために思い余って主家の金を盗むが、そこの無頼な跡取り息子に思いがけず救われる話だ。

 男主人公であるこの跡取り息子の心情は敢えて描かれていないが、恐らくは彼にとっても相容れない継母の女将から虐待される女中への共感や同情、そして恐らくは健気で美しい彼女への秘かな想いから助けたものと推察される。

 だが、家を出た彼の行方が明らかにされないように、この若い二人のその後も謎である。

 率直に言って、私にはあまり明るい未来を想像出来ない。

 ヒロインは確かにこの時点では破滅を免れたが、彼女の置かれた根本的な貧困は解決されていない。

 新年を迎えた彼女には残念ながらまた同じ様な生家の貧困から来る危機が訪れることは容易に予測出来る。

 作者の樋口一葉もそれを熟知していたからこそ主人公男女の本当の結末を描かずに終わらせたのではないだろうか。

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モラハラ離婚日記 吾妻栄子 @gaoqiao412

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