第3話
【
魏軍の追っ手は付いて来ていないし、涼州騎馬隊の南下に合わせて巡回部隊が出て来てる可能性も高かったが、何故かそれは無かった。
理由は分からない。
【
しかしそのために涼州の
同情は出来なかった。
「馬超殿」
「どうなるかと思ったが、このまま
「ああ」
考え込んでいた馬超が、明るい顔を上げて頷く。
後ろを見ると遅れず涼州騎馬隊は付いて来ていた。
彼らの顔に迷いは無い。
「……。」
「馬超殿。……
言い当てられて、馬超は少し驚いて趙雲を見た。
趙雲は小さく笑んでいる。
「当然だと思う。ずっと気にしていた
どうだろう……これは提案なんだが。ここまで来れば、私だけでも涼州騎馬隊は成都へ連れて行ける。貴方は戻って、馬岱殿を訪ねてみては……」
「いや……。しかしどこにいるかもう分からないし」
「あの庵に行ってみればどうだろう。可能性は低いが、もしかしたら徐庶殿が何か知っておられるかも」
「……何故馬岱が、俺に故郷に戻ると偽りを言ったのか、気になるんだ。
いや、何か悪しき理由というわけではないと思う。あいつはそういう人間ではないのでな。ただ……」
「それも本人に聞いたらすぐに分かることだ」
「……いや、いいんだ。
それで成都に会いに来るかも知れんし……来ないかも知れんが……それはあいつの望み通りに……」
何やららしくなくモゴモゴ言い始めた馬超に趙雲は目を瞬かせたが、肩を叩いた。
「必要ないと迷いなく貴方が言ったら、そうかで済ませたが。
その様子では迷っているのだろう。行って来い
折角涼州騎馬隊が合流して貴方に迷いが消えたのに、馬岱殿のことが不確かなまま気がかりでは、落ち着かんだろう。
馬超は少し押し黙ったが、頷いた。
「たしかに……そうだな。気がかりではある」
馬超は振り返った。
「
だが時は掛けず必ず
すぐに皆を休ませるよう、趙雲殿に頼んでおく」
「かしこまりました。馬超将軍」
「なんだ?」
「どうした。何かあれば言ってくれ。どうせ戻るから、見て来る」
「……馬超将軍の身が危うくなるようなことはしていただきたくありません。
ただ……
馬超はすぐに頷いた。
「分かった。出来る限りのものを調べて来る」
成公英は深く馬超に一礼した。
彼は龐徳と共に長く
そして韓遂は、馬超の父である
しかし韓遂が曹操とも親交があることで、
潼関の戦いで
成公英としては、単騎で
だが馬超は不満など見せず、真摯な表情で頷いて去って行った。
見送り、成公英はもう一度深く馬超の後ろ姿に頭を下げた。
「さぁ、我々も行こう、成公英殿……
「感謝します。趙雲将軍」
頷き、彼らは雪の積もり始めた道を再び歩き始めた。
【終】
花天月地【第77話 残照を辿る】 七海ポルカ @reeeeeen13
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