霧、晴れ、夢

 霧が晴れた

 長く森を包んでいた霧が晴れ

 長く森を蝕んでいた毒が消え

 長く森に這い回っていた蔦が崩れ

 長く森を彷徨っていた僕は夢を見た


 鏡合わせの僕が立っている

 さざ波を背に立っている

 鏡の中の僕の背に翼が見えた

 それは紛れもない僕の翼だった


 今、霧が晴れ、僕は夢を思い出す

 今、翼が宿り、僕は空を思い出す

 今、空を駆け、僕は快を思い出す

 今、太陽に近づき、僕の翼が焼け焦げるとしても

 翼は

 機能を失わず

 酔狂に曲を歌い続けるだろう


 霧を晴らした太陽を眺めながら

 翼は

 自ずと望む方へと羽ばたいた

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詩集 歌酔曲 鴻上ヒロ @asamesikaijumedamayaki

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