空腹―飢えの果て―

優優

第1話 飢えたモノ

腹が減った。

食っても食っても満たされない。

空くだけの腹。

何を食べても、何を飲んでも満たされない。

飢えた腹。


…昨日友達になった奴が冷たくなってる。

死んだのか。そうか。

…弔うか、食ってみるか、迷うな。

弔うのが無難か?

あぁ、でも俺にはそんなコトは出来ねぇからなぁ。

…手を合わせるだけで勘弁願おう。


あぁ、段々俺が何に飢えてるのか分からなくなってきたな。

腹が空いてるのか、喉が渇いているのか、もう何も分からない。

最初は、腹が空いて仕方がなかった。

次に喉が渇いた。

渇いて渇いて仕方なかった。

そういえば、泥水も飲んだんだっけか。


……腹が減った。

いつになったら、この飢えは終わるのか。

いつになったら、この渇きは終わるのか。

俺には何も分からない。

あの友達のようになれば終わるのだろうか。

それともあの世でも同じ苦しみを味わうのだろうか。

…1度行ってみようか。

……あぁ、それにしても腹が減った。


あれ、見ない顔だな。

新人か?

…ここはスラムだ。

知っているだろ?

死ぬも生きるも自分次第。

俺はここで育った。

もうかれこれ15年か。

小さい頃の記憶はないから俺は何歳か分からないけど。


……泣いているのか?

泣けばどうにかなると思っているのか?

あぁ、もったいない。

…こいつは何を言っている?

戻りたい?戻れるわけがないだろう?

死にたい?なら勝手に死ね。

生きたい?それなら俺が生きる術を教えてやるよ。

それで死んでも俺は責任は取らねぇよ?


あぁ、腹が減った。

…あらら。こいつもダメだった。

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空腹―飢えの果て― 優優 @suguruyuu

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