夏の夕暮れ

多くの青春の思い出の中でも１つの苦い思い出を綴った小説。

淡々と進んでいく話だけれど、共感を誘い、自分の青春も思い出させてくれる作品です。情景描写が上手く、主人公の感情が伝わってきました。

蝉の声、ヒグラシの声を聴いて貴方も思い出してみませんか？

忘れたいような、忘れたくないようなそんな苦い思い出。
誰もがふとした瞬間にあるようなことを、小説で表現されています。

この作品「夏の夕暮れ」は、夏の暑い日差しとセミの声を背景に、過去の後悔や切ない青春の記憶を丁寧に描いた短編やで。読むたびに、自分の中に眠っていた昔の思い出がそっと目を覚ますような感覚を覚えたわ。

まず、この作品の魅力はなんと言っても情景描写の美しさやな。セミの鳴き声や夏のグラウンドの熱気、窓を開けた時の風の感触、そういった五感に訴える表現がとても鮮やかで、「夏」を感じさせる力が抜群やった！　読んでる間、自分もその場にいるような気持ちになれるのが、この作品のええところやと思う。

ただ、「ちょい辛」の視点で言わせてもらうと、物語の展開が静かすぎるかもな。回想シーンや内面的な描写が中心やから、…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（254文字）