夏休み

夏休み

　七月二十一日（晴れ）

　今日から夏休みです。

　お父さんもお母さんも、しごとがいそがしいので、家で一人でいます。

　でも、さびしくありません。

　友だちの「くろくん」がいるからです。

　七月三十日（くもり）

　くろくんが、「一緒にあそぼう」と言いましタ。

　川の近くで、かえるをつかまえて、言われたとおりにおなかを切りました。

　中に、くろくんと同じ色のしみがありました。

　「おそろいだね」と言ったら、くろくんがわらいました。

　八月三日（くもり）

　頭がいたくて、一日ねてスごしました。

　ずっと、くろくんがそばにいてくれました。

　八月十日（雨）

　お母さんが、ぼくのへやのかべを見て、「へんな絵をかかないで」っておこりました。

　でも、それは、ぼくがかいたんじゃありません。

　くろくんが、かいたんです。

　くろくんは、ぼくにしか見えません。

　だケど、本当にいるんです。

　八月十五日（晴れ）

　おじさんが家に来ました。

　お母さんのお兄さんらしいです。

　ぼくの顔を見て、少しこわい目をして、何も言わずに帰っていきました。

　くろくんが言っていたとおりです。

　たぶん、もう、だれも来ません。

　八月二十一日（くもり）

　くろくんと、もっとなかよくなりました。

　ぼくの中に、くろくんが入っテきました。

　「これで、ずっといっしょだね」と言ってくれました。

　うれしくてなきました。

　ときどき、手がかってにうごくのが、楽しいです。

　八月三十一日（晴れのち黒）

　明日から学校です。

　みんなに会えるので、たのしみです。

　くろくんも「会いたい」と言っています。

　「友だちふやそうね」って、わらっていました。

　だから、明日は、

　みんなに、くろくんを入れてあげます。