第2話 伝説の「愛犬の伊豆」に行こう!
実はこれ、もう一か月以上前の出来事です。
ある日、うとうとしていた僕を抱えたまま、
ママはパパの大人の事情により(※犬には関係ない話です)、
「よし、気分転換に出かけよう!」と突然スイッチを入れました。
はい、聞こえましたか。
そうです、僕は「おまけ」です!
でもまあ、僕という完璧で可愛い同行者を連れて行くとなると、
行き先がだいぶ制限されるらしく、
選ばれたのは――伝説の「愛犬の伊豆」。
……正直に言いますね。
またしても、波乱の旅でした。
最初はよく分からないまま車に乗せられ、
起きては寝て、寝ては起きてを何周も繰り返し、
気づいたら到着。
しかも、もう暗い。
――え、もう寝る時間?(違)
実際には夜のお散歩でした。
人もいない、灯りもない、海は真っ暗。
本当に、何も見えない。
すると突然、茂みから野良猫が飛び出してきて、
僕の鼻先に向かって「シャーーーッ!!」。
幸い、手は出されませんでした。
でもね、正直言うと――これ、全然怖くない。
だって僕、家では猫兄4名+猫姉1名による
日々の精神修行を受けておりますので。
この程度、想定内です。
本当の意味での「波乱の旅」は、翌朝から始まりました。
はい〜、行きました。伊豆アニマルキングダム。
まあ、栃木でも動物園には行ったことあるし、
最初はそんなに期待してなかったんです。
でもね、入ってすぐ気づきました。
ここ――動物との距離、近すぎません??
パパがキリンにエサをあげている横で、
僕は必死につま先立ち。
あと、ほんのちょっと、ほんのちょっとでキリンに触れそうでした。
(みかん:それ、ほんのちょっとじゃない!
かぼちゃ:細長 vs ずんぐり
クリ:聞こえない聞こえない、猫のお経!)
キリンは富士山の白鳥みたいにキレ散らかしてもいなくて、
僕に怒りもしなかったので、この時点で僕の動物園テンションはMAX。
その後、優しい鹿さんや、角で突こうとして毎回空振りする羊さんにも遭遇。
あれはもう……将来、僕が牧する側ですね。
(パパ:違う、それはやぎ……君が牧るのは、ひつじ……
みかん:そこ、ポイントじゃないでしょ。今のあんた、ただのペットじゃない?
かぼちゃ:違う違う、やぎは本気で突いてくるから!)
さらにフラフラと歩き、観覧車にも乗りました。
ここまではもう、「波乱」というより、優雅で平和な旅。
……ホワイトタイガーゾーンに行くまでは。
ママはホワイトタイガーの大ファン。
SNSをやらないくせに、
なぜかXだけはホワイトタイガー専用で見ている女です。
「行かないわけがないよね?」という空気に逆らえず、
僕らはホワイトタイガーゾーンへ。
僕の本能は、近づいた瞬間から全力でUターン。
でも両親はまったく気づかず、僕が走る → パパ「羊見たいんだな」→ 抱き上げられてホワイトタイガーの前へ。
僕は震え、パパはニコニコ、ママは連写。
――ここからです。本番は。
パパが僕を下ろした、その瞬間。
ホワイトタイガー、全力ダイブ。
もちろんガラス越し。でも、ものすごい迫力。
僕は即座に、回転 → ジャンプ → 花壇イン。
完璧な回避でした。
ホワイトタイガーはガラス越しに大絶叫。主に「無能な怒り」。
僕は――白い歯でニッ。
ふふ。
今日から僕も、虎と戦った犬です!
現地の皆さん、僕のおかげで良い写真、撮れましたよね?
(パパ:栗、漏らしました!!!
ママ:あはははははは)
……以上をもって、愛犬の伊豆、波乱の旅(自称)はこれにて終了。
僕は余裕でhandleしました。
……と思ったでしょう?
帰りの車でぐっすり寝ていた、その時。
ガッシャーン。
両親の悲鳴で目が覚めました。
原因は――Googleマップ。細道愛好家の、あいつです。
道が狭すぎて、左後輪が宙に浮く溝へ。
次の瞬間、「え、転がる??」。
ワン!!
……いや、ワンどころじゃない。
必死でした。
人類、僕の犬語わかる??
今すぐ助けてって吠えてるんですけど!!
……ドン、ゴト。
前輪も後輪も、奇跡的に脱出成功。
その後の僕は、冷静を装いながら一睡もできませんでした。手は汗だらけ。
もうね、毎回、旅行って何かしら起きないと異世界冒険扱いされない気がするんですよ!
……いや違う。
ここは愛犬の伊豆。
楽しかったです。本当に。
でもまあ、帰り6時間、事故渋滞フルコースは伊豆の定番ということで。
そして気づけば、もう新しい年。
僕は今日も元気で、よく食べて、よく寝ています。
犬的には、
それが一番、大事なことなんだと思います。 🐾
だから――
人類のみなさんも、新しい一年は、
ちゃんと食べて、ちゃんと寝てください。
元気があって、笑えていれば、それで十分です。
万が一、パパみたいにずっとしょんぼりしてしまったら、
いつの間にか「波乱の旅」が始まりますから。
犬は、もう経験済みです。
……あ、そうそう。
そのときの動物園の写真も、ちゃんと残っています。
https://kakuyomu.jp/users/kuripumpkin/news/822139843221086700
栗は、長生きしたい! 栗パン @kuripumpkin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。栗は、長生きしたい!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます