第2話 バカセールス

 とにかくカバンを軽くしたいのと昼過ぎの炎天下には“ドトールコーヒ”などへ逃げ込みたいので……午前中は「官公庁」へ精力的にカタログをバラ撒く。

 で、お昼前には“向うの方が”嫌がるので……記名受けに名刺を放り込んで日報に書く件数を稼ぐ。

 正直言って、こんなの経費と労力の無駄遣いとしか思えない!


 さあ! ここはこれでおしまい!

 駅へ戻って隣の市に移動し、市役所の食堂で昼メシを食おう!


 名刺入れをポケットへ戻し、カバンの取っ手に手を掛けた時、オレの横をスイッ!と横切り一人のセールスマンがカウンターの中へ入り、事もあろうに一番奥の担当課長の前まで突き進んだ!

 もちろんここは執務室への入室は厳禁だ!

 案の定、担当課長は如実に苦い顔!!


 バカなヤツだ!!


 オレは市役所の食堂で……さっきのセールスマンのアホな行為をエッセンスにして日替わりランチをそれなりに美味しくいただいた。



 しかしバカはオレだった!!


 あの、“バカ”はライバル会社のセールスマンで……今度の入札の仕様書をガチガチに固められてウチは入る余地が無くなった。

 当然、オレはアホ課長から酷く叱責された。


 セールスマンとは……かくも厚顔無恥でなければならないのか??

 それともオレにはセールスとしての能力が欠如しているのか??


 クソ暑い日々の中で……

 オレの鬱屈は否応なしに積み増しされるのだった。



 

                        おしまい


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鬱屈 縞間かおる @kurosirokaede

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