概要
道祖神の記憶を引き継ぐ血脈……彼女たちの人生は複雑に絡み合っていた……
傀儡女として旅をした静、敗戦後の日本を生きた寿美子、清廉な人生を歩もうとした静佳、性愛を生きる術とした真里亜……傀儡子の血を引いた彼女たちが懸命に生きる物語……
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!女性を愛する作者ならではの^^ 時間と空間を往還する魂の物語。
タイトルにある「石」とは道祖神のことで、本作の中では形状的にも象徴的にも「女性それ自体」を表しております(意味がよくわからん人は、とりあえず読み流してください w)。
ストーリー全体は過去編と現代編を交互に語る構成になっていて、過去編では源義経の正室であった静御前を主人公に、問題の道祖神がいかにしてその地に祀られるようになったかという経緯が示されます(と言っても、経緯そのものはあくまでサイドストーリーの末端部分ですが)。何しろ半ば伝説の人なんで、仮説に仮説を重ねた歴史テーマのエンタメフィクションではありますが、「もしかしたらこういう後半生だったかもしれない」と思わせられる程度には静御前…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人間の心理描写が深く描かれた作品に惹かれる方におすすめです!
この物語は、過去と現在が交錯しながら、登場人物たちの葛藤を深く掘り下げていくミステリーです。
特に、いじめや家庭環境から逃れるようにテレビの世界にのめり込んだ少女・静佳と、過去のトラウマを抱えながら家族を守ろうとする静佳の娘・麻里亜の二つの視点が交互に描かれることで、物語に奥行きと謎が生まれています。
この作品は、1970年の大阪万博という高度経済成長期の日本を舞台にした静佳のパートと、現代を生きる静佳の娘・麻里亜のパートが対比的に描かれており、異なる時代背景の中で人間が抱える普遍的な孤独や欲望、家族の在り方が浮き彫りにされます。
カラーテレビがもたらす華やかさと、静佳自身の閉塞感とのギ…続きを読む