スキル"共感性羞恥"で敵味方諸共自爆します！

王道の異世界×スキル系でありながら、その切り口と描写で強烈なインパクトを残す一作。

主人公が授かったのは「共感性羞恥」。他人の失敗や過去の黒歴史に触れたとき、思わず自分まで悶絶してしまうあの感覚が、スキルとして具現化するというユニークさ。けれどそれは笑い話にとどまらず、本人の過去の痛みや後悔をもさらけ出す苛烈な能力でもあります。

「共感性羞恥」のエピソードは、誰もが一度は味わったことのある失敗の痛みを鮮烈に呼び起こし、読む側まで胸がぎゅっと縮こまるよう。過去と現在が交錯する語り口は、臨場感と没入感が抜群で、気づけば主人公の視点に取り込まれています。

笑えるのに刺さる。軽妙なのに重たい。…続きを読む

転生した主人公が独自のスキルを用いて活躍する王道なろう系の作品ではあるものの、あらゆる要素が一味も二味も違います。
まずは世界観、魔術や魔法を用いて現代社会レベルに発展した社会なのですが、その歴史が滅茶苦茶壮大かつ、様々なディティールが凝っており面白いです。
また、本作ではガッツリとした歴史の勉強パートが存在しており、そのパートをしっかりと世界観にのめりこめる作りになっているのです。
だいたいのなろうではそんなに触れられていなかったパートが、かなり力が入ってたのでビックリしました。オススメです。

＜第1章「学園入学編」プロローグ『灰色の青春』を読んでのレビューです＞

冒頭から、中学時代の数学の失敗体験が生々しく描かれる。手を挙げた自信と、その瞬間に崩れる現実のコントラストが緊張感を生む。語り手の内面に入り込み、共感性羞恥や自己評価の揺れを丁寧に追う文体は、静かな熱を伴った緻密な観察のようだ。現実の風景や季節感、歩行中の体感も細かく描写され、読者は主人公の視界と意識の変化を共に体験することができる。

「ーー否、これはーー。崩れるの感覚などとうになかった。」
事故や転倒の物理的感覚と、心理的な混乱を短い断片で同時に描くことで、状況の不安定さや恐怖が読み手に直感的に伝わる。このリズム感…続きを読む

テンポの良さに引き込まれ、一気に読了してしまいました(^▽^)

スキル設定もさることながら、何よりも印象的だったのは、転生の目的がいわゆるテンプレなろう系作品とは一線を画している点でした。

これからどんな学園生活が始まっていくのか楽しみです♪

過去の経験を創作に落とし込んで昇華させる、というのは物書きあるあるだと思うのですが、これがもし作者さんご本人の経験から発布されたものであるならばこの先も責任を持って見続けなければならないと思いました。
なんてものを開いてしまったのか…。