戦国史に私の名前が無いのは、私がやりすぎたからですか？

※本作には暴力・残酷描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。

戦乱の世、近江・雄琴の無法地帯で育った少女・池田文殊は、「鬼」と呼ばれる腕前と残酷さを持ちながら、自分を“普通”だと信じている。

「賭けという名の荒療治」――それが信長の治療法。
文殊に課された賭けは、鬼を人へ還せるかどうか。

言葉で止め、場を整え、ときに身を張って、彼女の刃先が人へ向かぬよう奔走する家臣や仲間たち。
信貴山の復讐、手取川の撤退、茶の湯の失敗、忍との対峙――血と笑いが交錯する日々の先で、文殊は「斬らずに終わらせる」技を少しずつ覚えていく。

やがて、信長に認められ国主となった文殊を待つ“新たな試練”とは。

史書に名は残らない。
だが確かにあった、もう一つの戦国活劇――苛烈で、そして優しい荒療治の記録。