大人になるとちょっとのことでは動じない。ビル風にあおられても「きゃあ」ではなくて「水曜日だなあ」と思う。それでも夜中くらいは自分ひとりの時間にもどる。そして革命を夢みる。たとえそれがネイルをぬりかえるささやかなことでも。逃げ出してもわからないアイシャドウのラメ一粒が自分のために輝く。そんな大人の女性の切なさを感じます。
女性会社員のリアルな日常が、やわらかく、するどく詠まれています。かといって、充実した生活というよりは、倦怠感を感じている短歌に光るものがあります。全体的に詠みやすく、優れた短歌集と言えるでしょう。推し短歌1首。社員証のすこし傾いだ顔写真 これが遺影になるかもしれぬ
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